ニューサポート高校「数学」vol.36(2021年秋号)より。2022年度入学生から年次進行で実施される高等学校学習指導要領数学における統計的探究プロセスの充実は自然な帰結です。また、内容・方法面の一つの特徴として仮説検定の考え方を数学Ⅰで扱うことも注目に値します。数学Bで扱う仮説検定では、不確実な事象に対し設定した帰無仮説と対立仮説に対して、標本データをもとに二項分布をはじめとする確率分布から統計量を算出します。そして、事前に設定した有意水準に基づく統計量から帰無仮説の棄却を判定します。これに対してインフォーマルな統計的推測では、確率分布のかわりに実験やシミュレーションソフトを通して得た観測データから統計量を求め、帰無仮説の棄却を判定します。本稿では、この仮説検定の考え方を扱う授業実践の構想・実践を報告します。
東京都立工芸高等学校教諭 上田凜太郎