国語科においては,指導内容について,これまでの3領域1事項の枠組みから,三つの柱による整理へと捉え直すとともに,育成する資質・能力を明確にすることが求められている。しかしながら,これまでの実践の中には,単元を通して,あるいは1単位時間の授業の中で育成すべき資質・能力が明確に捉えられていない状況が散見される。これは,学ぶ対象である「国語」が,ほとんどの児童にとって,自然習得されてきた母語であることに起因するものと考える。そこで,なんとなく読み,書き,聞き,話すことによって学習活動が行われ,学びの手ごたえを実感することが少なかったのではないか。つまり,児童にとって「学習内容」が具体的にイメージできないことが多いということだ。言い換えると,教師が児童に「学習内容」を意識させることができていないということである。その原因として,教師が「指導内容」を明確に捉えていないこともあるのではないか。国語科の指導において新学習指導要領で求められる主体的,対話的で深い学びを実現するためには,上記の課題を解決することが必要と考え,本研究主題を設定した。(東研研究報告 No.333)
東京教育研究所