「ニューサポート高校「社会」vol.34(2020年秋号)特集:感染症」より。前回は,政治思想的に見た場合,「共同体主義」に立脚点が近い新科目「公共」は,①原理的な意味で,少なくとも日本型の(つまり,何が「道徳」であるかは「公定」できるという前提に立つ)道徳教育と相性がよいこと,そして,②新科目が育てようとする「公民としての資質・能力」や育成をめざす人間像には,日本という共同体には,誰もが承認しうる共通価値が存在するという前提がビルトインされていること,について論じた。では,こうした新科目「公共」の共同体主義的な性格は,この科目に期待されるキャリア教育としての役割に対しては,どのような影響を与えるのだろうか。今回は,この点について考えてみたい。
法政大学キャリアデザイン学部教授 児美川孝一郎