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連載コラム「かがくのおと」第137回 相分離生物学から見た抗がん剤の効果

  • 理科
  • エッセイ
公開日:2020年06月22日
連載コラム「かがくのおと」第137回 相分離生物学から見た抗がん剤の効果

タンパク質やRNAは,細胞内では集合してドロプレットの状態になっており,物質の集積や機能の区画化に役立っているという話題は,本コーナーでも2017年以降にさまざまな切り口で幾度となく取り上げてきた。今回は,細胞内に取り込まれた抗がん剤がドロプレットに選択的に取り込まれる様子が報告されているので紹介したい。細胞内にある分子は,投与された低分子薬でも例外ではなく,生物学的相分離の影響を受けているのだ。この論文が示唆するように,低分子薬の効果を理解するためには,体内での安定性や,ターゲットタンパク質への結合能のほか,細胞内のどのドロプレットに取り込まれるのかという相分離性も考える必要がある。

筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎

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