タンパク質はアミノ酸がペプチド結合したポリマーである。多くのタンパク質は結晶化するほど均質な立体構造を持ち機能する。タンパク質はいったいどのように固有の構造を形成するのかという問題は,科学の世界で最も長く研究されているテーマのひとつである。基本的には,親水性のアミノ酸側鎖が水に接触する外部に位置し,疎水性のアミノ酸側鎖が水と接触しない内部に位置するようにフォールディングするとされている。しかし,タンパク質の構造の内部にあるものほど疎水性であり,外部にあるものほど親水性なのかというと,そう単純な分布はみられない。今回は,アミノ酸の性質を大きな表に整理して,あれこれと考えてみたい。30年から40年前には多面的に研究されていた課題で,現代の目で見直してみたい。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎