ニューサポート高校「数学」vol.32(2019年秋号)より。学の数学科ではコンピュータの講義や演習をカリキュラムに入れている。これは昔からそうであったが,最近はその実践に苦労することが多い。 意外に思われるかもしれないが,そもそも,大学の数学専攻の学生にはコンピュータ音痴が多い。物理・化学・生命科学・工学では統計的な手法は必須であるから,何らかの形でコンピュータを使って結果を出すことが求められているのに対し,数学では「公理に基づいて証明する」ことが求められることが多いから,数値計算するということに重きを置いていない教師が多いからだろうか。だが,今後,AI教育などの必要性がますます叫ばれるようになろうという時代に,数学の学生がコンピュータ音痴では困る。
学習院大学 理学部教授 岡本久