いま大学では暗い話題が増えているように思うが,この側面を直視して整理してみたい。まず,日本では国立大学の運営交付金が12年間にわたって減少し,破綻しそうだという重たい課題がある。私も運営側の仕事が増えてきて,少しは我が身として考えなければならなくなっている。もうひとつ,アカデミック・ポストをめぐる論文至上主義は,世界的に見ても科学に悪影響をおよぼすと警鐘を鳴らす報告が相次いでいる。一方で,博士の学位の需要は,日本でも増えていそうだという個人的な印象がある。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎