タンパク質のデザイン技術が進歩し,巨大で安定な人工的な構造物が作製できるようになっている。ワシントン大学のデビッド・ベイカー博士らのグループは2016年7月,正二十面体構造を持つ人工タンパク質をネイチャー誌とサイエンス誌に続けて報告している。分子量100万もの構造物は,ウイルスのカプシドのように物質を運ぶことができ,加熱や化学物質に対する耐性も高く,蛍光タンパク質を結合させても構造が壊れない。これらの人工タンパク質は,タンパク質の既存のデータベースを活用せず,物理学の第一原理から計算して作られたものである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎