小学校の参観に行くのをいつも楽しみにしている。家では脳天気な息子が妙に張り切って手を上げるのも微笑ましいが,何より先生の教え方に感心する。まず板書が美しい。構成がしっかりしているので,そのまま写すだけでノートの取り方も学べる。文字も実に丁寧だ。先生が書く「か」や「さ」や「ら」などを見て,なるほど正しくはそう書くのかと小学生と一緒に勉強している気になる。さらには生徒のことをちゃんと見て話すのも小学校の先生らしいところだろう。生徒に伝わっているのか様子を見ながら話すので,関係が生き生きとしている。ひとつひとつの所作に意を払っている。手も耳も目も口も。これがプロなんだなと,いつも感心するのである。
筑波大学数理物質系物理工学域教授 白木賢太郎