昨今,「教科書が重い」と,子供たちの通学時等における身体的な負担などについて報道され,大きな話題になっています。東京書籍では,学習指導要領に示された「質」「量」の充実を第一に考えながら,紙・印刷等あらゆる面から子供たちの学力向上と負担軽減に取り組んでいます。
東京書籍編集部
平成17年の紙の重さを100%とした場合,平成27年は90.0%以下に軽量化しました。
教科書用紙は,軽さを追求すると同時に,強度を保ち,裏の紙面が透けないように不透明度も確保しなければなりません。そのための多くの改善を進めています。紙を薄く,軽くしながらも,適切な塗料を付すことで,裏の紙面が透けないように可能な限り努力をしています。
用紙の断面図(顕微鏡写真500倍)
右はパルプとパルプを離すことにより紙の密度を下げています。
同じ厚さでも紙が軽くなります。
教科書用紙
上質紙
塗料を工夫することで,白色度を教科の特性に合わせて調整しています。印刷の発色,反射など目へのやさしさ,強度などをテストし,長期間,さまざまな使用場面に耐えうる最善の用紙を開発しています。
● 塗料による用紙の違い
一般的に「塗工紙」といい,塗料を塗布することで用紙の美観や平滑さを高めます。塗料の量と質により印刷の仕上がりに違いが出るため,例えば写真などを美しく印刷する必要のある教科と書き込みのしやすさを重視する教科とでは,塗料の量と質を変えた用紙を使用します。
教科書は,教科によっては大判化し,教科書本体に書き込むことで,学習効果を高めることをねらっています。そのため,より筆記特性に優れた紙を開発し,鉛筆で文字がしっかりと書き込めるようにしています。
教科書用紙
(小学校保健)
上質紙
コート紙
用紙は木材からつくる環境に配慮したバージンパルプと良質な古紙パルプを適切に配合して作ります。教科書用紙は他の用紙製造と明確に区分され,製紙会社内の特別な体制と仕様で作られています。
印刷用紙を作っているところ
木材チップ
古紙パルプ
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