-総合的な学習- ●
勤務校では、様々な行事や活動が奪われたコロナ禍の下でも、子どもたちの自己肯定感を高められるように、「①役に立つ機会をつくる工夫」の取り組みを行った。また、国語の学習と合わせて「②協働的問題解決の仕方を身に付ける工夫」を行った。さらに、今後の人生においても積極的に人や社会に関わっていく姿勢をつくるために「③関わることの価値をメタ認知できる工夫」をした。これら三つの手立てによって、子どもたちに、社会貢献をするとともに自らの幸せを創造する力を育成することを目的とした。
最優秀賞受賞に当たって(555KB) |
-授業づくり-
「思考力の育成~探求的な話合いを通して~」 (5,766KB)
● 本校の研究は、まず、自校の教育の実態を把握することから始まった。具体的には、本校の児童の実態やそれまでの校内研究の取り組み、本校の教師として身に付けたい力や願いなどを洗い出し、我々がどういうことを考え研究を進めていくべきかを明らかにするため、教師一人一人にアンケート調査を行った。そこで見えてきたのは、我々が期待する児童の姿と教師としての課題意識であった。研究1年次を終えるにあたり、教師一人一人が「思考力の育成」をテーマに1年間の研究を振り返るレポートを作成し、「研究紀要」にまとめた。思考力は「見えない学力」であるが、思考力があたかもそこにあるかのように見ようとしながら、授業改善に向き合っている様子がうかがえたことは研究の成果の一つとなった。
-社会科-
「子どもたちが社会に向けて提案する課題解決型学習の可能性」 (3,819KB)
●
本論文は、Zoomを活用して児童が自らのアイデアや考えを社会に向けて発信する実践についてまとめたものである。見学という受け身の学びだけではなく、社会課題を自分事として捉え、その課題解決に向けて自ら提案するところまで行きつくよう工夫した。
本実践は、小学校社会科における食料生産やフードロスについて扱った内容である。社会課題やその解決策が注目されており、社会の動向も意識して児童にも考えてもらうようにした。オンラインでゲストティーチャーを招き、児童らの考えやアイデアについてフィードバックをしてもらった後、企業に対してさらに具体化したものを提案することにつながった。最終的には、企業の方から感謝状をいただいたり、児童が考えたアイデアをプレゼンする機会として代表児童と企業とのオンライン交流会が実現したりした。学校と専門家・企業がつながることによって、見える世界が広がるとともに、児童の学びがより深くなった実践である。
-理科-
「中学校理科における気象現象の理解を深めるARの積極的活用」 (7,579KB)
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中学校理科第2学年「気象現象とその利用」の単元において、ARを活用した学習を行った。単元のはじめは、教師作成のARコンテンツを使って気象現象を観察させた。ARに慣れてきた頃に、生徒が5つのARコンテンツを作成して観察や思考を行った。
ARコンテンツの作成には、iPadアプリ「Reality Composer」と「Keynote」および生徒が毎回の授業で撮影した雲写真、Oculus Quest2 アプリ「Gravity Sketch」を使用した。
定期テストの正答率の比較や生徒アンケートによると、ARを活用した学習は、図や写真では理解するのが難しい空間的な構造や動きを捉えることに役立ち、自然現象の深い理解につながることがわかった。特に、ARの活動場面については、「空間的な動き」を理解する場面で非常に効果的である。
また、ARコンテンツを生徒に作成させる場面は、事前に用意した制作パーツを配布して、それらを組み立てて動きを付ける方法が好まれる。その理由としては、制作の難易度が下がり、ARコンテンツをしっかりと観察して、課題に向き合う時間が増えるために、内容の理解に集中できるからである。
奨励賞論文概要紹介 以下3点(2,980KB)
-外国語科-
「学習世界を広げる子どもたち~魔法のタブレットをたずさえて~」
-特別支援教育-
「支援を要する児童の『教育的ニーズ』への適切な指導と支援の充実」
-国語科-
「相手や目的に応じて自分の考えを書いて表現する学習指導の工夫
―「読むこと」の教材分における筆者の書き方の工夫を自分が表現する文章に生かす学習を通して―」
奨励賞論文概要紹介 以下3点(2,980KB)
-総合的な学習-
「『拓く力』の育成を目指した総合的な学習の時間の展開
―単元「商品開発プロジェクト」の実践―」
-英語科-
「英語劇『マジックショー』でコミュニケーション能力を伸ばす」
-総合的な学習-
「e-Sportsを基盤としたキャリア教育のデザインと非認知能力の育成」
入選者一覧(257KB)
入選者一覧(257KB)
■審査委員(2021年度)
赤堀 侃司
東京工業大学名誉教授
市川 伸一
東京大学名誉教授
武内 清
上智大学名誉教授
谷川 彰英
筑波大学名誉教授
露木 昌仙
前東京学芸大学教職大学院特命教授・元全国連合小学校長会会長
鳥飼 玖美子
立教大学名誉教授
東原 義訓
信州大学名誉教授
藤井 斉亮
東京学芸大学名誉教授
松岡 敬明
前十文字学園女子大学教授・元全日本中学校長会会長
●第37回「東書教育賞授賞式挨拶 東京書籍代表取締役社長 渡辺能理夫 (1,130KB)
●第37回「東書教育賞」審査委員の講評・所感 (4,779KB)
●あとがき(公益財団法人中央教育研究所所長) (352KB)
東書教育賞は1984年、東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から、ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て、優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。