-総合的な学習- ●
「熊本地震復興数え歌」をつくることを通して,平成の熊本地震について後世に伝え,記憶を風化させないための歴史・文化の継承者=未来の創り手としての児童,社会参加・社会貢献する児童を育てることをねらいとした実践である。
最優秀賞受賞に当たって(1,181KB) |
-学校経営- ●
「朝鑑賞」を活用し,「考える」→「考えたことを口にする」という活動を恒常的に行うことで,生徒の思考力・表現力を伸長させ,生徒の総合的な学力を伸ばす実践論文である。
最優秀賞受賞に当たって(1,096KB) |
-特別活動-
他者と協力して課題を解決する児童の育成―卒業単元を通して―(7,021KB)
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謝恩会やお別れ遠足,卒業制作など,卒業に関わる各活動を構造的に整理し,それぞれの活動の関係や意義について児童が理解し,自覚的に関わることができるよう開発した「卒業単元」についての実践論文である。
「主体的な学び」の実現を「目的」とすることにとどめず,資質・能力を向上させるための「手段」と位置づけ,「単元開発」と「教えることと考えることの明確化」に着目して活動を構成している。
卒業に関わる様々な活動を整理し構造化するとともに実行委員会制度を導入し,例えば,各実行委員が進行する提案会では,「提案→検討型」「募集→提案型」「条件提示→提案委託型」など,さまざまな形で行事を企画させ,児童に卒業行事の意義を実感させるよう工夫している。いろいろな試行錯誤を重ねさせながら,合意形成を通して他者と協働して問題解決をすることを実感させた実践である。
-英語・プログラミング-
世界と協働するモノづくり-教科・国境を超えた課題解決型学習-(6,738KB)
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「ぼくたちの街,京都を世界に紹介しよう」をテーマに,Minecraft(マインクラフト)という「モノづくり」コンピュータゲームを使い,京都の街をゲーム上に再現し,外国の同世代の子どもとSkypeやSchoologyを使い英語で交流した,教科や国境を越えた活動の実践論文である。
児童の「京都の良さをもっと世界に広められないかな?」との提案をもとにスタートした単元で,社会科の学習として京都の歴史や建物について調べ,それをICT科(2017年度設立)の時間を使いMinecraft上に再現,さらに観光ロボットをゲームの中に作り,プログラミング学習を通じて,ロボットを動かす学習を行った。完成した「街」に関して,アメリカやインドなどの学校と英語を使ってSkypeやSchoologyで感想や改善点などを交流し,世界の同世代の子どもたちと海外の人が楽しめる「京都の街」を完成させた実践の報告である。
プログラミングや英語学習のみではなく世界との「つながり」を実感させた実践でもある。
-音楽科-
聴覚障害児が音楽科で主体的に学習するための基礎的な力の育成(5,883KB)
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日常生活において自然な形で音楽に触れる機会の少ない聴覚障害児に,その子に応じた聴き方で音に親しむことができるようにする聴覚特別支援学校における実践の報告である。補聴器や人工内耳などの利用によって自己の持つ聴覚を最大限に活用させるとともに,発達段階に応じた教材を精選,視覚情報を多用し,分かりやすい方法をとることで音楽に対する興味関心を喚起し,基礎力を培っていく。小学校部初期段階における歌唱や器楽の表現,鑑賞の基礎となる「拍」の力を育てる導入と高学年の器楽奏に関する実践論文が紹介されている。
初期段階では,音の有無を感じ取る練習から始め,文字から「拍」へと進め,文字を「拍」ごとに〇で囲み視覚化してとらえさせている。その後,実際の曲で「拍」への意識を育てていくスモールステップ学習が採られている。2年生段階では,「拍のかたまり」から「拍の流れ」へと展開し,「拍」の〇の大きさを変えたり色を変えたりして視覚化している。
高学年の実践では,音量を視覚化する演奏補助装置の導入や楽譜の書き換えなどを通じて,音の強弱表現力を高める工夫を重ね,管弦楽団との共演にまで結びつけている。
-社会科-
主体的に社会に参加する生徒を育てる単元開発(4,303KB)
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課題を追究したり解決したりする活動を充実させることで,「学んだ力(何を知っているか,何ができるか)」,「学ぶ力(知っていること・できることをどう使うか)」,「学ぼうとする力(どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか)」をつける実践である。
学習過程は,課題の把握・課題の追究・課題の解決(提案)から構成されており,本実践では,歴史学習のまとめが取り上げられている。
既習の内容を「原始・古代」「中世」「近世」「近現代」という時代区分のもとに再確認させた上で全体を概観させ,「政治」「生活」「文化の特色」「世界の歴史とのつながり」という4つの視点を活用して各時代を多面的に見るとともにその特色を見る学習からスタートし,その後,協調学習を促すジグソー学習も取り入れた学習になっており,「新しい時代区分を作ろう」という課題に取り組む構成になっている。魅力ある課題(問い)をつくることで,生徒の好奇心を刺激し,「主体的に社会に参加する」態度を育成する実践である。
-数学科-
数学の学習を前向きに取り組む生徒を育てる継続的な指導(6,297KB)
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数学の学習に前向きに取り組む生徒を育て,ICTを活用して理解を促し,結果として数学好きな生徒を増やしていく実践論文である。
数学の学習に意義を見出せない生徒に対し,毎回の授業で,身につけるべき目的をスライドでまとめ,明示した。また,道徳の授業で「なぜ学習するのか」を議論させるとともに,新聞を使った授業で,数字の入った文章や表を読み取る学習を繰り返し,数学を学ぶ意義や楽しさを実感させていった。
加えて,数式の意味やその変形をパワーポイントで視覚教材化し,さらには,フリーソフトGeoGebraを使ってシミュレーション教材を作成するなど,数学の学習の具体的なイメージがわくよう工夫している。また,タブレット端末やインターネットなども使いながら問題演習や復習を行い,学習習慣を身に付けさせるなども徹底したICTを活用した実践である。
特別賞論文概要紹介 以下1点(1,223KB)
-理科-
主体的に学ぶ生徒を育成するジグソー法とプレゼン―10の実践―
奨励賞論文概要紹介 以下3点(2,684KB)
-国語科-
読みを自覚し,対話で深める物語文学習-座標シートを活用して
-体育科-
主体的に運動に親しむ子供の育成
-算数科・社会科-
タブレット端末の活用を通した授業改善の取り組み
奨励賞論文概要紹介 以下1点(1,164KB)
-委員会活動-
「生徒が主役」の給食委員会活動
■審査委員
赤堀 侃司
東京工業大学名誉教授
市川 伸一
東京大学大学院教授
武内 清
上智大学名誉教授
谷川 彰英
筑波大学名誉教授
壷内 明
前聖徳大学大学院教授・元全日本中学校長会会長
露木 昌仙
前東京学芸大学教職大学院特命教授・元全国連合小学校長会会長
鳥飼 玖美子
立教大学名誉教授
東原 義訓
信州大学教授
藤井 斉亮
東京学芸大学名誉教授
●第34回「東書教育賞授賞式挨拶 東京書籍代表取締役社長 千石雅仁(1,159KB)
●第34回「東書教育賞」審査委員の講評・所感(8,437KB)
●あとがき(公益財団法人中央教育研究所所長)(1,001KB)
東書教育賞は1984年,東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から,ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て,優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。