「第27回(平成232年度)東書教育賞」受賞者のご紹介

最優秀賞

関根幸枝

 関根幸枝 茨城県鹿嶋市立高松中学校

小学校部門

健康は一生の財産!たくましい子どもを育てた健康教育の実践(20,608KB)

この論文は関根先生の「研究論文の概要」にあるように「こどもたちが自分の健康課題に気づき、よりよい解決方法を考え、毎日の生活に生かせる健康教育。6年間積み重ねることで、一人一人が自分の心や体を知り、大切にできるようにしたい。」という願いを実践した論文です。「健康教育の概要」は、こどもの発達段階に応じ、系統的かつ構造的に構成されており、実践例の記述により、教育活動の展開が適切に記述されている優れた論文です。なお関根先生は第22回優秀賞を受賞されております。


最優秀賞受賞に当たって
井上裕一

 小山真二 岡山大学教育学部付属中学校

中学校部門

技術・家庭科(技術)における問題解決能力の育成を目指した授業(3,933KB)

この論文は、富士ゼロックスの新入社員研修で実施している「ストロー橋製作実習」を実際に見学し、第三学年の技術の授業への適用を試みた実践です。小山先生は概要の中で「長所を持続させて短所を改善することで目標に近づく問題解決の基本的な考え方が身につきつつあることが確認できた」と書かれていますが、技術分野の趣旨に沿った実践事例として模範となる優れた論文です。


最優秀賞受賞に当たって

優秀賞

小学校 部門

宇都宮浩 宮崎県延岡市立延岡小学校

実感を伴った理解を深めるための理科指導の在り方(21,463KB)
この論文は、4年生から6年生の理科を中心とした実践で、具体的な体験に基づき問題解決的な学習やノート指導、メディアの活用、保護者との連携などを通して、実感の伴った理解を深めるための実践をまとめた論文です。特にノート指導やサイエンスニュース、理科読書等教科外での活動と連動させた展開は見事なものです。実践後のアンケートでも8割以上の児童が「身についた」「分かった」と答えており、何よりもこの面で評価できる優れた論文です。

黒澤智美 北海道札幌市立白楊小学

自ら問題意識をもち、意欲的に学び合う子どもを育てる学習を目指して(27,178KB)
この論文は、第5学年「少数のかけ算・わり算」と第6学年「分数のかけ算・わり算」「比の学習」における2ヶ年にわたる授業と学級経営の実践を中心にまとめたもので、「クラスのみんなが学び合う算数が楽しい。だから算数が好き」を目指した実践です。算数に興味・関心がなかった児童を算数大好きに変えてしまう指導で、「ネームカードの活用」や「間違いを学びのエネルギーに変換させる」等の7つの実践のポイントによる指導の結果であり、すばらしい実践論文です。

田口隆 秋田県秋田市立川尻小学校

ICT活用を基盤に据えて進める栽培活動及び理科授業の創造(24,397KB)
この論文は、「栽培リテラシーチェエクシステム」や「デジタル栽培マニュアル」を活用することで教師自らが「栽培リテラシー」や「理科指導能力」を日常的に高めながら、栽培活動や理科授業を創造し、子どもたちの「探究する力」を高めるという実践事例です。継続的に栽培活動を行う過程でICTをマニュアルや記録、発信の道具として活用した結果、次の課題も見つかるといった探究活動ができるという優れた論文です。なお田口先生は第22回優秀賞を受賞されております。

中学校 部門

 

新井仁 長野県長野市立柳町中学校

数学における表現力の育成を目指した問題解決学習のあり方て(1,313KB)
この論文は、研究の目的を、生徒の表現力を育てるための問題解決学習のあり方を検討することを主眼としています。新井先生が昨年優勝賞を受賞した論文「統計資料を取り入れた数学的モデリングの教材開発」の研究をさらに発展させたもので、現実的な問題解決の道具として数学的モデリングを活用した優れた実践論文です。なお新井先生は第22回奨励賞も受賞されております。

小松香江 千葉県南房総市立丸山中学校

自己表現活動に意欲的にとりくむ生徒の育成~英語日記を通して~(1,063KB)
この論文は、題名の通り「英語で日記を書くこと」ことにより「自己表現活動に意欲的にとりくむ生徒の育成」を目指した実践です。小松先生は論文の概要で「授業で学習した自己表現文を英語の日記で使用することが英語表現を身につける上で有効であること、また日記に書かれた単語や文法の誤りを指導することによって正しい英文を書くことができるようになることも分かった」と記されています。Bingo、Reverse Bingo、英語日記といろいろな工夫がなされ、生徒がどのように自己表現力を伸ばしていったかがよく分かる優れた論文です。

 

小学校 部門 [論文概要紹介 以下4点](5,312KB)

特別賞

大地斉 茨城県日立市教育研究所所長

だれにでもできる発達障害児の支援メソッドの実践
この論文は、大地先生の勤める日立教育研究所で平成22年4月に「子ども発達相談センター」を開設、実際に相談事業をスタートさせましたが、多くの親が求めていたものは「相談よりも手厚い支援」だということが分かりました。先生方は専門スタッフによる先行研究を行いながら、1年間の研究の末に発達障害児の理解と支援に必要な「支援メソッド」を完成させました。中央教育研究所も毎年2月に「特別支援教育」に関するシンポジウムを開催しておりますが、先生の研究は画期的なものであり優れた実践論文です。なお大地先生は第23回最優秀賞、26回特別賞を受賞されております。

奨励賞

加地美智子 香川県高松市立香西小学校

複数教材文の読みつなぎと並行読書による物語文読解学習の工夫

森崎陽介 宮崎県日向市立財光寺小学校

児童の学習意欲を高める社会科指導の在り方~第6学年社会科単元の実践を通して~

横田富信 東京都杉並区立堀之内小学校

政治が見える地域教材で、社会参画の資質や能力を育む社会科学習

中学校 部門 [論文概要紹介 以下4点](3,482KB)

特別賞

井上裕一 熊本県玉名市立有明中学校

主体的に探究する地域教材の開発と協同的な学習活動の工夫
この論文は、井上先生が勤務する有明中学校のグランドの一部となっている旧日本軍の大浜飛行場を取り上げ、残されている文献から飛行場を作ったプロセス、当時の住民感情、空襲による被害などを読みとり、また地域住民との交流を深めることにより郷土への誇りや愛情を育てることに役立てることができた実践論文です。研究の視点を明確にし、その視点に沿って論述されており、論文の姿勢は一貫しています。実践例では、子ども達がテーマの追求に主体的に取り組んでいる様子が描かれている優れた論文です。なお井上先生は第19回、24回、25回で優勝賞、26回最優勝賞を受賞されております。

奨励賞

大谷俊彦 高知県立高知南中学校

「中1ギャップ」の解消に向けて~「思い」を「カタチ」に~

金井 清 埼玉県上尾市立太平中学校

科学への意欲を高めるLogo言語のシミュレーション作り

佐藤寿仁 岩手大学附属中学校

数学活動の充実を図る学習指導の工夫~小町算を題材として~

贈呈式

25回東書教育賞贈呈式集合写真

東書ホールにて

審査委員紹介

赤堀先生

赤堀 侃司
白?大学教授

秋田 喜代美

秋田喜代美
東京大学大学院教授

坂元先生

坂元 昂
社団法人日本教育工学振興会会長

杉山先生

杉山 吉茂
東京学芸大学名誉教授

寺崎先生

武内 清
敬愛大学教授・上智大学名誉教授

鳥飼先生

壷内 明
聖徳大学教授・元全日本中学校長会会長

寺崎先生

寺﨑 昌男
立教学院本部調査役・東京大学名誉教授

鳥飼先生

鳥飼 玖美子
立教大学大学院教授

東原先生

東原 義訓
信州大学教授

三上先生

三上 裕三
聖徳大学教授、元全国連合小学校長会会長

●東書教育賞は教育現場を支援します 東京書籍代表取締役社長 川畑慈範(6,230KB)
●第27回「東書教育賞」の審査を終えて・ICTに関わる論文の総評・審査委員の講評・所感(21,821KB)
●あとがき(財団法人中央教育研究所所長)(1.096B)

「東書教育賞」設立主旨

東書教育賞は1984年,東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から,ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て,優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。


過去の入賞論文

事務局

(財)中央教育研究所内「東書教育賞」審査事務局
〒114-8524東京都北区堀船2-17-1
TEL:03-5390-7488  FAX:03-5390-7489
URL:http://www.chu-ken.jp