福本 義久(奈良県御所市立葛小学校)
小学校 A部門 教科指導・学校経営部門
「不登校事例における教員の職能成長」(3,244KB)
●この論文は、10年前に不登校から完全回復した子どもやその母親に担任として関わってきた記録を、本人の回顧を横糸に、当時の事実を縦糸にして編み上げ、再構築したものです。不登校の子どもについては多くの教師が経験し、その扱いにたいへんな悩みを持っていますが、この論文は丹念な「不登校から登校へ」のステップが分かり易く述べられています。段階的にその対応のあり方や子どもの態度・意欲・興味・関心などが記録され、教師の対応力や指導力の向上に役立つ内容です。母親や本人への対応に当って「基本的な考え方」を持つことの重要さを教え、職能を向上させる理論の確かさを持つ優れた論文です。
五十嵐 俊子(日野市教育委員会)
B部門 ICT活用部門
「教育の情報化におけるICT活用教育推進室の役割と成果」(10,966KB)
●この論文は、3年間の教育委員会としてのICT活用教育推進の戦略とその成果を述べたものである。他の市町村等に参考となる先進的・全体的取り組みであり優れた論文である。
井上 裕一(熊本大学教育学部附属小学校)
「地域の特色に対する見方や考え方を高める社会科学習の工夫」(16,889KB)
●人吉盆地の平坦部と山間地の茶生産の違いに着目した展開は、子ども達にとって十分に魅力的であったことが推測されます。資料、学習活動の準備も念入りで、筆者の指導力が伺えます。茶ラベル作りへの動機づけは、生産者の立場から、あるいは同県人としての立場から、もっと子どもの意欲を高める必要があったように思われます。総じて二つのお茶作りを比較し、盆地の地形を具体的に捉えさせるとともに、人々は盆地特有の気象条件を生かしたり克服したりしていることを子どもにつかませた優れた論文です。
中島 英雄(岐阜県各務原市立蘇原第一小学校)>
「『発達障害児教育を光に』誰もが心地よく共生する学校創り」(4,336KB)
●教育基本法をはじめ各種法改正が行われ特別支援教育が全国で展開されています。国際的な教育制度の潮流がインクルーシブな方向へと流れていることや新学習指導要領に個別の指導計画等の作成が位置づいたことから、通常学級の中で、発達障害児の指導を通常学級担任も行うことが当たり前の時代がやってきます。この論文は、特別支援教育を必要とする子どもへの様々な対応がきめ細かく実践的な内容であり、先生方が自分達の学校でも取り組めるし成果も出せると思わせるすばらしい実践です。
鈴木 幸枝(群馬県渋川市立古巻中学校)
「思考力を伸ばす指導の工夫 概念地図と一枚ポートフォリオの導入」(27,415KB)
●この論文は、物事に直面した時にじっくり考え、勇気を持って解決に向けて取り組める生徒を育成したいと考え研究に取り組んだ実践です。生徒の変容がよくわかり、またその変容ぶりが実にすばらしいものです。概念地図作成やポートフォリオ作成時の生徒の活動は実に生き生きとしており意欲的です。生徒の感想からも5時間で十分達成できたことが推測されます。先生と生徒の信頼関係確立と先生の熱意・指導力の賜であることを思わせる優れた論文です。
佐々木 寿洋(岩手県盛岡市立仁王小学校)
「算数的活動を生かした思考を深める算数学習」 [論文概要紹介](676KB)
高橋 正治(愛知県西尾市立寺津小学校)
「食育科」の設定と展開 [論文概要紹介](260KB)
上野 真(大分県大分市立滝尾小学校)
「日常が輝くICT活用〜ICT活用の日常化・一般化を目指して〜」 [論文概要紹介](700KB)
宮本 直彦(広島県世羅町立世羅中学校)
「『ことばの教育』によって活用力を高める授業の創造」
● この論文は検証をもとに論理的に研究が進められています。達成目標をしっかりと定め、具体的指導に向けての実践的な取り組みが効果を上げています。今求められている教育課程を的確に捉え、新学習指導要領への位置づけもしっかりとなされています。検証の結果により言語技術の習得率が20〜30%伸びている点は研究の成果です。また思考力、表現力の向上も伺え、研究が地に足がついた確かなものであることがわかる優れた論文です。
織田 剛(愛知県扶桑町立扶桑中学校)
「自分の考える東海州を提案しよう(中1・地理的分野)」
矢原 豊祥(広島県立広島中・高等学校 )
「『論理的な思考力・表現力』を高めるカリキュラムの開発」
第24回東書教育賞贈呈式 平成21年1月25日 東書ホールにて
秋田喜代美
東京大学大学院教授
小野 具彦
元全日本中学校長会会長
杉山 吉茂
東京学芸大学名誉教授
多湖 輝
千葉大学名誉教授
寺ア 昌男
東京大学名誉教授、桜美林大学名誉教授
鳥飼 玖美子
立教大学教授
三上 裕三
聖徳大学教授、元全国連合小学校長会会長
赤堀 侃司
東京工業大学教授
坂元 昂
日本教育工学振興会会長
東原 義訓
信州大学教授
●「第24回東書教育賞」の審査を終えて(東書教育賞審査委員会の講評・所感など)(16,480KB)
●あとがき(財団法人中央教育研究所所長)(119KB)
東書教育賞は1984年,東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から,ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て,優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。