「第30回(平成26年度)東書教育賞募集要項」

募集要項(2,272KB)

応募票(971KB)

「第29回(平成25年度)東書教育賞」受賞者のご紹介

最優秀賞

徳水博志

 徳水とくみず博志ひろし 宮城県石巻市立雄勝おがつ小学校

小学校部門

「震災体験の対象化」による被災児への≪心のケア≫の試み(2660KB)

徳水(とくみず)先生が勤務する雄勝(おがつ)小学校は、雄勝湾の最奥部にあり、多くの犠牲者を出した大川小学校とは山を隔てて隣接しています。津波で校舎は全壊、児童らは高台に避難して無事でした。この論文は東日本大震災後、震災を要因とする子ども達の苦悩やストレスに対する心のケアを試みたものです。俳句や作文、朗読劇、ジオラマや版画の制作など、震災体験を語り、吐き出し、表現することで現実を受け入れ、前を向こうとする意思を育てることに筆者の強い使命感がうかがえる優れた論文です。


最優秀賞受賞に当たって
佐藤寿仁

 佐藤さとう寿仁としひと 千葉県南房総市立丸山中学校

中学校部門

「学びの自覚化」が創り出す生徒の主体的な学習活動(5170KB)

本研究は、生徒の学びを結果のみで評価するのではなく、思考やプロセスを大切にした学びの構築をねらったものです。課題自体がよく取り上げられており扱い方もいくつもの先行研究があり、ていねいな授業展開で多くの反応を引き出し、それを自覚化させることで学習の質を高めています。教育課程での「学びの自覚化」の推進が、生徒の思考を深め、学びが次の学習への効力を持たせることを実践した優れた論文です。


最優秀賞受賞に当たって

優秀賞

小学校 部門

長田洋一 愛知県碧南市立大浜小学校

広汎性発達障害児の言語発達を促進させるコンピュータ教育
(1,883KB)
広汎性発達障害(PDD, pervasive developmental disorders)とは、社会性の獲得やコミュニケーション能力の獲得といった、人間の基本的な機能の発達遅滞を特徴とする「発達障害における一領域」のことです。発達障害の理解自体が十分でない現況において、コンピュータを有効に活用するという課題は特別支援教育を推進する上で大切であると筆者は述べています。この論文はトーキングカードの活用とロールプレイを用いて発達障害児の言語発達を促進した優れた論文です。

小原貴之 宮城県仙台市教育委員会

絵図をかく活動から、数学的思考力を育てる~ブロック操作だけの指導からの脱却~3,822KB)
1学年の算数の授業には、ブロックやおはじきを使った操作活動のみの授業が多く見られます。教科書にも計算場面でブロックの挿絵があるので当然と思われますが、ブロックのみではノートに何も残りません。筆者はブロック操作による表現活動は反対していませんが、ブロック操作だけが表現活動であるといった考えには反対しています。そこで、ブロックに置き換えて、ノートに絵や図をかく表現活動を取り入れ、加減計算の理解を図り、思考力を育てる実践を行いました。小学校入門期において、絵図をかくことのよさを実感できる優れた論文です。

高橋尚幸 福島県相馬郡新地町立福田小学校

学習レポートと3つの場で作る「つながる国語科」4,185KB)
筆者の勤務する新地(しんち)町立福田小学校は福島県浜通りの最北にあり、全校生徒100名ほどの小学校です。東日本大震災では大きな被害を受けました。「被災地の僻地校に勤務する教師には、復興を支える人材を育てる責任がある」という信念のもと、筆者は国語科を中心として、児童の思考力・判断力・表現力の育成に取り組んでいます。児童は繰り返し学習レポートを書く中で、資料を調べる力、図や表を用いて説明する力、友達に問う力などを伸ばしていきます。教科を横断し「レポート」という1つの言語活動の「書き方」を活用しながら子どもが力をつけていく取り組みは興味深く優れた論文です。

中学校 部門

鈴木康代 千葉県南房総市教育委員会

中二理科で、説明活動の改善を図り、深く思考する生徒を育てる(3,080KB)
この論文は、中学校理科第2学年の4つの単元で、他者に説明する言語活動を取り入れ、思考力の育成を目指した授業実践をまとめたものです。PISA2009年の結果や平成24年度全国学力・学習状況調査結果と目の前の生徒の実態から研究課題を明らかにして、新学習指導要領の改善事項の1つである言語活動の充実をめざして取り組んだ優れた論文です。なお鈴木先生は28回の最優秀賞を受賞されています。

横山千晴 佐賀大学文化教育学部附属中学校

パフォーマンス課題とルーブリックで発信力を問う英語授業(3,618KB)
本論文は、東京書籍のNEW HORIZON 1年生のSpeaking Plus2 道案内「留学生に佐賀大学周辺マップを作って紹介しよう」における単元構想や帯活動(おびかつどう)、ルーブリックの作成から使用の実際を振り返り、その有効性と課題について探ったものです。生徒とともに開発されたルーブリックは大変素晴らしく、また評価についても、自分が評価するクラスメートを振り当てるやり方も工夫されています。教師が用意するマップにより既習事項を確実に定着させることができ、生徒は自律した学習者に成長することができる優れた論文です。
※ルーブリック:成功の度合いを示す数値的な尺度(scale)と、それぞれの尺度に見られる認識や行為の特徴を示した記述語(descriptor)からなる評価指標のこと。 ※帯活動:毎時間、授業全体のうちの5分間や10分間を利用して、教科書から離れて行う継続的な活動のこと。

小学校 部門 [論文概要紹介 以下5点](1,299KB)

特別賞

金子てる子 愛知県碧南市立棚尾小学校

岩手県釜石小学校と交流を深め、共に学ぶ復興教育
この論文は、指導領域を特定し、それに対する意欲的、創造的に取り組んだ実践研究論文です。豊かな経験に基づく実践事例には説得力があり、読み手に感銘を与えます。実践内容が具体的で現場の教師の参考になります。どの学校でも取り入れ、応用できる実践事例です。知識として教える領域分野を扱う際の生きた教材となる優れた論文です。なお筆者は過去に2回最優秀賞を受賞されております。

奨励賞

内田佳寿美 愛知県岡崎市立常磐小学校

言語活動を充実させ、気付きの質を高める生活科の授業の創造

宇都宮 浩 宮崎県延岡市立東小学校

学校を活性化するための主幹教諭としての取組
~職員・保護者・児童の3つの視点から~

久世真奈美 北海道中川町立中央小学校

体験を基盤とした問題解決学習の授業づくり
~4学年「人の体のつくりと運動」、「月と星」の授業実践を通して~

佐藤靖泰 宮城県富谷町立東向陽台小学校

小学校算数科における反転授業への挑戦~実践事例報告~

中学校 部門 [論文概要紹介 以下3点](1,207KB)

特別賞

大西久雄 埼玉県越谷市教育委員会

ICTで学校が変わる ~これからの社会に対応する力の育成~
筆者は、学校の様々な教育課題解決を外部と連携して、積極的に共同事業体を組むことで、成果を得ることができると考えました。特にICTを糸口にすると様々な外部の力を学校内に取り組み易くなり、「授業の改善」「安心安全への自己指導力向上」「コミュニケーション力の育成」「情報活用・編集力の育成の工夫」の4つの観点で大きな教育効果を得ることができました。ICTを糸口として、外部の力を校内に取りこんで、学校を大きく変えていった優れた学校経営の論文です。

奨励賞

石田周一 大分県佐伯市立鶴谷中学校

基礎・基本の確かな定着に向けた国語科学習指導の研究
~学び手の思いに寄り添った実践を通して~

川端裕介 北海道八雲町立熊石第二中学校

学習習慣を定着させる社会科指導の工夫

贈呈式


29回東書教育賞贈呈式集合写真

東書ホールにて

審査委員紹介

赤堀先生

赤堀 侃司
白鴎大学教授

杉山先生

杉山 吉茂
東京学芸大学名誉教授

武内先生

武内 清
敬愛大学教授・上智大学名誉教授

谷川彰英

谷川彰英
筑波大学名誉教授

壷内先生

壷内 明
聖徳大学教授・元全日本中学校長会会長

寺崎先生

寺﨑 昌男
立教学院本部調査役・東京大学名誉教授

鳥飼先生

鳥飼 玖美子
立教大学大学院特任教授

東原先生

東原 義訓
信州大学教授

三上先生

三上 裕三
元全国連合小学校長会会長



●東書教育賞は教育現場を支援します 東京書籍代表取締役社長 川畑慈範
●第29回「東書教育賞」の審査を終えて・ICTに関わる論文の総評・審査委員の講評・所感
(4,566KB)
●あとがき(公益財団法人中央教育研究所所長)(1.123B)

 「東書教育賞」設立主旨

東書教育賞は1984年,東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から,ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て,優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。


 過去の入賞論文

 事務局

(公益財団法人)中央教育研究所内「東書教育賞」審査事務局
〒114-8524東京都北区堀船2-17-1
TEL:03-5390-7488  FAX:03-5390-7489
URL:http://www.chu-ken.jp