-学校経営- ●
外国人児童が2割,発達に障害傾向のある児童が1割在校する学校での実践。学校の置かれている状況もあり,不適応行動を起こす児童も多く見られる中,児童の自己肯定感を高めることで,安心した学校生活を送ることができるように企図した実践論文である。
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-理科- ●
義務教育段階で学んでおくことが望ましいと捉えた「原子力・放射線」に関する学習内容を,中学校3年間の理科の学習に関連させて位置づけた実践論文である。
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-音楽・ICT-
ICTを活用した音楽づくりにおけるプログラミング的思考の育成(4,500KB)
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ICT機器やソフトを使用し,4年生の児童が「1年生にプレゼントするうたをつくる」という「音楽づくり」活動についての実践論文である。
「創作している音の可視化」「記譜」「再現演奏」が難しいことから,「音楽づくり」活動に苦手意識を持つ教師,児童が多いという課題がある。本実践においては,ICT機器およびソフト(歌声合成ソフト「ボーカロイド」)を使うことで,旋律を音声で確認しながら歌づくりを行い,同時に記録(記譜)することで課題を克服している。また,作成した楽曲を改善する「音楽的推敲」作業を通じて,「記号の組み合わせ方を論理的に考え改善していく力」,すなわち,プログラミング的思考力を育成する実践にもつながっている。
音楽づくり活動にICT機器を効果的に使うとともに,プログラミング的思考との間に共通点を求め,教科学習とプログラミング教育をうまく融合させた実践となっている。
-総合的な学習/社会-
農業学習における多面的・多角的な見方・考え方の育成
~稲作体験による実感的な学びの効果の検証~(5,758KB)
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5年生の稲作体験活動(総合的な学習)を核にして,社会科の学習と関連づけ,多面的・多角的なものの見方,考え方を育成する実践論文である。
種もみからの苗づくりに始まり,雑草や害虫,害獣対策,収穫,脱穀までの工程を実体験する過程で,他の米作地域との比較や生産者の工夫,配慮などの考察を並行して行い,学習の構造的な広がりを持たせ,社会科の農業単元「食料生産を支える人々」の学習内容である日本の食料生産の特色について,多面的・多角的にとらえさせている。
また,山からの湧水を使い,米アレルギーになりにくいとされる品種「ゆきあかり」の無農薬栽培に取り組んでいる地域の方との交流を通じ,消費者と生産者の両面から農業について考えさせる実践にもなっている。
-総合的な学習-
地方の「まちづくり人」を育てる試み
~生徒に,事業を企画・実践する力と地域への愛着を育む~(5,816KB)
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全国的な少子高齢化の進行の中,地域活性化の問題はきわめて重要な課題となっている。その状況下で,学校教育の一環として地域貢献事業を行うことを通じ,生徒自らに地域に貢献できる力と自信を培い,地域に対する愛着をもたせることを企図した実践論文である。
地元に観光客を呼び込もうという地域観光PR「事業」を,総合的な学習の時間で展開した実践である。生徒は,実際に地域を知り,その魅力を再発見する。また,「観光パンフレット」を作成し,実際に行政や地域に働きかけ,ポスター制作や「観光動画」を作成,配信する。さらには,実際にP.R.活動を行う。こういった実際の事業活動の中で,地域への愛着と地域に貢献できる具体的な企画力・実践力を育む実践であり,社会的な生活力や自らの生き方を高めていくことにもつながる実践である。
-理科-
肢体不自由のある生徒の表現する力の育成を目指した理科の実践(6,629KB)
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日常生活動作が困難な生徒が在籍する肢体不自由特別支援学校での,理科の不思議さや楽しさ素晴らしさを感得させ,生徒の「表現する力」を伸ばしていく実践論文である。
「理科に苦手意識を持つ生徒に関する事例」,「生徒間の実態差が大きい学級を取り上げた事例」,「コミュニケーションに困難さを抱える生徒の事例」という3事例が紹介されており,理科で学んだことを多くの人に伝えるという活動を通じて,表現することの楽しさや人と関わることの喜びを実感し,日常生活を豊かにする様子が紹介されている。
それぞれ,理科での学習が,「説明する」「学び合う」「(記者会見型)スピーチする」などの表現活動に連接され,学んだ事柄が効果的に活用されている。加えて,Skypeを利用した他校との合同授業やスマートフォン,タブレット端末の利用,インターネットの活用等,ICT機器をうまく授業に取り込んだ実践でもある。
方策としてのプログラミング学習~ドローンが運ぶ故郷の笑顔~
食への興味がわく食育だよりの発行を中心とした食育の推進
協同的な個人実験による主体的・対話的な理科の問題解決学習
我が国の伝統と文化を尊重する態度を育成する授業の創造
「問題」に着目した数学の授業改善に関する一考察~「推移型の問題」と「非推移型の問題」の比較を通して~
■審査委員
赤堀 侃司
東京工業大学名誉教授
市川 伸一
東京大学大学院教授
杉山 吉茂
東京学芸大学名誉教授
武内 清
上智大学名誉教授
谷川 彰英
筑波大学名誉教授
壷内 明
前聖徳大学大学院教授・元全日本中学校長会会長
露木 昌仙
東京学芸大学教職大学院特命教授・元全国連合小学校長会会長
鳥飼 玖美子
立教大学名誉教授
東原 義訓
信州大学教授
●第33回「東書教育賞授賞式挨拶 東京書籍代表取締役社長 千石雅仁(1,021KB)
●第33回「東書教育賞」審査委員の講評・所感(5,993KB)
●あとがき(公益財団法人中央教育研究所所長)(1,269KB)
東書教育賞は1984年,東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から,ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て,優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。