「コロナ禍を乗り越える平和学習の創造を目指して」 (4,889KB) ●
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、学校教育の現場でもさまざまな困難に直面した。本論文は、そのような状況の中、新しい平和教育を構想、実践したものである。
最優秀賞受賞に当たって (553KB) |
「探究的な学びを通して、次代を創る子供たちの資質・能力の育成」 ●
本実践論文は、生徒が「地域」のよさや願い、課題に気付き、自分の事として主体的にそれに関わることを通じて、自己肯定感を向上させ、「地域」への愛着と誇りをもち、自分たちが「未来を創る担い手である」ことの自覚を促す「キャリア教育」の報告である。
最優秀賞受賞に当たって (502KB) |
「やればできる!~Zoomの活用でピンチをチャンスに~」 (5,330KB)
-学校経営・総合-
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本実践は、コロナ禍の影響を受け、教育活動に制限がかかる中、Web会議ソフトであるZoomを有効に活用し、学校行事やその他の教育活動に、全学校職員が一丸となって取り組んだものである。
全家庭にPC端末やインターネット環境が整っているわけではないという前提があり、休校期間の授業の代替は、学習用プリントの配布など紙ベースで対応したが、「子供たちと先生たち、また子供たち同士のつながりを取り戻す」ため、Web会議ソフトであるZoomの活用を探った。公平性の観点から、学習進度に関係するものを除外し、まずは、可能な者だけが参加する「Zoomでラジオ体操」の実践から始め、分散登校時には、「分散」のために会えない子供たちをつなぐ形でもZoom体操を取り入れた。Zoomを使った交流がスムーズに進行する中、さらに、海外の日本人学校との交流「つながろう世界と」(6年生・総合)、車椅子シンガーによる福祉授業(5年生・総合)、異学年間のZoomリポーター学習交流などに活用実践を広げていった。まさに八重原小学校の学校目標である「夢・チャレンジ・やればできる」を体現化した実践である。
「1人1台端末を活用した授業改善による学力向上のエビデンス」 (5,219KB)
-算数-
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本論文は、GIGAスクール構想により、1人1台端末環境が整う中で、「1人1台端末環境で学ぶこと」で、子供たちの学び方が変容し、結果として学力が向上していく姿を報告したものである。
研究の背景には、東京書籍標準学力調査・算数科での過去6年間分の結果分析がある。ここから、子供たちがつまずいていた単元や内容など「つまずき状況」を分析、把握し、課題の改善のために、PDCAサイクルの冒頭にR(Research)を加えたR-PDCAサイクルを取り入れた。そして、つまずきを解消するツールとして、1人1台端末を活用し、「つまずかせない授業」開発を目指し、「問題作りを通した協働学習」、「学習者用デジタルコンテンツによる試行錯誤」、「思考力を育むプログラミング学習」という3パターンを確立し、データに基づく授業改善を実施した。この取り組みが、これまで、「推察する」、「仮説を立てる」、「試行錯誤する」等の経験が十分でなかった子供たちに、「思考する」、「対話する」活動を促し、学びを深めることができるようになった。加えて、研究開始時から2年を経て、「算数が好き」と応える子供も大幅に増加した。
「『訊く力』を重層的に育む―実の場で生きる対話能力を目指して―」 (5,751KB)
-国語-
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本論文は、国語科のインタビュー活動を通じて、「実の場」で生徒の「訊く」力を育てる実践の報告である。
実践者は、まず、「聞くこと」を「相手の話全体を受け止める」=「聞く」、「受信情報の焦点化」=「聴く」、さらに「情報を引き出す」=「訊く」という3機能に分類し、その3つを相互補完的な階層性の中に位置づける。その上で、「訊く」ことを重点的に扱うことで、「聴く」・「聞く」力(=学習指導要領が示す「聞くこと」に関する資質・能力)を高めることができると考え、国語科における「新聞」作りの活動の中でのインタビュー学習で、日常生活という「実の場」での「訊く」力を育てようと企図する。
学習活動は、ペアになったクラスメイトから情報を引き出す「ペアに訊く」活動、そして、質問内容の展開が目まぐるしく変化する中で、質問し記録する「(教育)実習生に訊く」活動、元新聞記者の方から「インタビューの極意」を学び、質疑応答する活動を経て、専門家へのインタビュー(新聞記者の方へのインタビュー、環境保全団体代表の方へのインタビュー)へとつなぎ、広げていくことで、生徒に主体的な「訊く力」を育てていく。
「科学的に探究し、学ぶ意味や価値を実感できる理科教育の創造」 (7,198KB)
-理科-
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本研究は、理科・地学領域の学習において、単元構成および問い、振り返りの活動を工夫することで、自然を科学的に探究しようとする力を育み、学ぶことの意味・価値を実感させようとするものである。
まず、仮説を立てそれを検証するなど、自然を探究しようとする力を育成するために、単元を構成する際に、身近な岩石(庵治石=花こう岩、サヌカイト=安山岩)を取り上げた。また、生徒全員が学びや問いに参加できるように、「問い」を視点化し、生徒の知的好奇心を揺さぶるような工夫をした。さらに、科学的に問い合える集団を育てるために、理科の授業における「根拠・理由・結論」を明確化し、対話の場面で、仮説や予想、考察など、自分の考えの根拠を明確化して、話し聞き合うことができるようにした。そして、学びの意味や価値を実感し、自分の「自然観」の変容に気付くことができるように、「振り返り」のタイトルを統一したり、「振り返り」の視点を設定するなどしたりして工夫した。
このような工夫を重ねることで、生徒の、仮説を立てそれを検証する「探究する力」を育むことを実証した論文である。
「小中系統立てたプログラミング教育のモデルカリキュラムの開発」 (8,639KB)
-教育課程-
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必修化されるプログラミング教育について、学校現場の課題を探り、指導の拠り所となる小中学校段階の系統的カリキュラムを開発する報告であり、「どのような教科で」、「どのような内容の授業を」、「どのように配列すれば良いのか」を明確にすることを課題にしている。
まず、「どのような教科で」、「どのような内容の授業を」ということに関して、先行研究での「プログラミング的思考」の育成重視の方策ではなく、プログラミング教育に関わる気付きや態度形成を促すことができる学習場面を示すことにシフトし、結果、「コンピュータを活用した社会で行われている問題解決を体験的に学習できる場面」と「コンピュータをツールとして活用すると有用な場面」を析出し、教科での具体的な場面を想定した。
「どのように配列すれば良いのか」ということに関しては、プログラミング教育の資質・能力の3つの柱(知識及び技能/思考力、判断力、表現力/主体的に学ぶ力、人間性)を発達のステージに応じて検討し、小学校1年から中学校までを4つの段階に区切って示した。
その上で、両者の検討から、プログラミングの体験を行う学習場面に関する難易度を設定し、検証授業を計画、実施し、モデルカリキュラムを開発していった。
特別賞論文概要紹介 以下1点 (1,113KB)
「アウトプットを通じて資質・能力を育成する反転授業の実践」
-理科-
奨励賞論文概要紹介 以下4点 (3,957KB)
「地域の一員として主体的に防犯活動に取り組む子どもの育成」
-総合的な学習-
「愛鳥を学校の伝統から学区の文化へ~生平小学校3年間の取組~」
-総合・生活-
「しなやかに未来を生き抜くための力を育む音楽づくりの指導の工夫」
-音楽-
「1人1台端末による主体性の育成と深い学びに繋がる授業での活用」
-全教科-
奨励賞論文概要紹介 以下3点 (2,112KB)
「地域を活かした言語活動~新学習指導要領と小中連携を踏まえて~」
-英語-
「『見方・考え方』を活用した特別支援学級の理科授業実践と評価」
-理科・特別支援-
「SDGsを通して社会を、そして自分自身を見つめる子どもの育成」
-技術・家庭-
■審査委員(2020年度)
赤堀 侃司
東京工業大学名誉教授
市川 伸一
東京大学名誉教授
武内 清
上智大学名誉教授
谷川 彰英
筑波大学名誉教授
壷内 明
前聖徳大学大学院教授・元全日本中学校長会会長
露木 昌仙
前東京学芸大学教職大学院特命教授・元全国連合小学校長会会長
鳥飼 玖美子
立教大学名誉教授
東原 義訓
信州大学名誉教授
藤井 斉亮
東京学芸大学名誉教授
●第36回「東書教育賞授賞式挨拶 東京書籍代表取締役社長 千石雅仁 (1,007KB)
●第36回「東書教育賞」審査委員の講評・所感 (4,716KB)
●あとがき(公益財団法人中央教育研究所所長) (288KB)
東書教育賞は1984年、東京書籍の創立75周年を記念して設けられました。教科書の発行という公的な事業を行っている会社の社会還元という見地から、ここまで東京書籍を育てていただいた教育界への感謝の気持ちを込めて設置されたものです。
教育現場の地道な実践活動に光を当て、優れた指導法を広める橋渡しをお手伝いしようというものです。