授業はどのように変わる? 新学習指導要領 Q&A

Q7

計測して制御する活動とは,どういう活動ですか?

A7

ものづくりの活動で,目的を達成しているかどうか計測し,目的どおりでない場合はその目的を達成するために修正するといった活動です。

ポイント

  • ものづくりでは,子供がその意義を見いだすことができるように,学習を通して獲得した知識を活用した目的を設定できるようにする。
  • 目的を達成しているかどうか計測し,必要に応じて制御する活動を保障する展開にする。

「ものづくり」に目的をもたせる

ものづくりの活動は,現行の学習指導要領でも位置づけられていますが,どのように展開しているでしょうか。単元の学習が終わったときに,ただ単に教材を組み立てたり,教科書に示されているものづくりの例をなぞっただけで終了させたりすることはないでしょうか。

これまでのものづくりの活動は,その活動を通して解決したい問題を見いだすことや,学習を通して得た知識を活用して,理解を深めることを主なねらいとしてきました。そして,実験の結果から得られた性質や働き,規則性などを活用したものづくりを充実させることで,実感を伴った理解を重視してきました。

このことに加えて,新学習指導要領では,目的を設定し,計測して制御するといった考え方に基づいた観察,実験や,ものづくりの活動の充実を図ることを求めています。とりわけ,目的を設定したものづくりを行うことは,子供が学んだことの意義を実感できるようにするという点でとても大切なことです。

目的を達成するために計測し,制御する

子供にはっきりとした目的意識があれば,つくった結果が目的を達成するものであるかどうか確かめたくなるはずです。いろいろ動作させてみて,必要に応じて計測するなどの活動に向かうことが想定されます。そして,目的どおりになっていない場合は,その目的を達成するために修正するといった活動に向かいます。

子供たちは,生活科の学習を通して「もっと遠くに」「もっと速く」といった自ら抱いた思いや願いを達成するために活動に向かう経験を多くしてきています。このような活動には,「もっと」という上限のない設定が多く見られますが,例えば,振り子の性質を利用したメトロノームなどのように,目的に応じて動作をコントロールしなくてはならないものが多くあります。理科のものづくりにおいては,このような実生活につながるようなものづくりがなされるように展開していくことが大切です。実際に製作したものを振り返ってみると,遠くに行きすぎてしまったり,動きが速すぎて適切な動きになっていなかったりした場合に,微調整する活動を通して「制御する」ことの意味を体験的に捉えられるようにしたいものです。

第五学年「振り子の運動」でのものづくりの例

本単元では,「振り子の一往復する時間は,振り子の長さによって変わること」を学習します。この知識を活用してものづくりを想定した場合,これまでは,おもちゃづくりなどで意図する動きになるようにものづくりを展開する例が多く見られました。ここで,計測し,制御することに必然性を伴うものづくりの例として,「メトロノーム」が考えられます。学級で歌を歌う場面を想定して,テンポを一定にして歌うために,一往復する時間を調整することのできるメトロノームづくりを目的として設定することができます。また,そのメトロノームは,歌う曲によって速さを調整しなくては目的を達成することができません。テンポが曲よりも速ければ,振り子が一往復する時間を制御するためにおもりの位置を変えて振り子の長さを調整することになります。