授業はどのように変わる? 新学習指導要領 Q&A

Q1

生きて働く「知識及び技能」を習得できる授業って,どういう授業ですか?

A1

獲得した知識や技能をさまざまな状況に応じて使いこなすことができるようになる授業です。

ポイント

  • 子供が強い問題意識をもって問題を解決し,知識を獲得できるようにする。
  • 獲得した知識を他の文脈で活用できるようにする。
  • 技能は,観察・実験の器具の操作手順を暗記させるのではなく,その意味も理解できるようにする。

1 社会の中で生きて働く「知識及び技能」

「知識」に関して,これまでの指導では,学習指導要領の各内容項目に示される内容をそれぞれの単元で指導し,単元の終わりには,その内容を知識として獲得しているかどうかを確認して学習を終えるということで終始していなかったでしょうか。これだけでは,個別の知識の習得だけで終わってしまいます。

これからの指導では,知識を個別の事実的な知識のみを指すものではなく,社会の中で生きて働く知識を含むものとしておさえることが大切です。ただ単に,知識を記憶するだけではなく,将来,子供たちが変化の激しい社会を生きていく上で,獲得した知識を様々な状況に応じて使いこなすことができることを求めているといえます。

実際の指導では,これまでに獲得している知識と関連付けたり組み合わせたりしていくことにより,子供たちが単元の学習だけにとどまらない様々な場面で活用できる知識として身に付けていくことができるように展開することが重要です。例えば,新学習指導要領では,第六学年の「電気の利用」の学習で,光電池などを使って発電できることを扱います。第三学年の「太陽の位置の変化」の学習では,太陽の位置は,東の方から南の空を通って,西の方へ変化することを扱います。光電池の学習の終末では,太陽光発電パネルが設置されている様子を紹介し,パネルの設置する方位や角度の工夫について話し合ったり,光電池を使って確かめたりする活動を展開することで,光電池に関する知識と太陽の位置の変化についての知識を組み合わせることができ,それらについての深い理解と定着を図るとともに,実生活における様々な場面で活用できる知識として身に付けていくことが考えられます。

技能についても同様に,一定の手順や段階を追って身に付く個別の技能のみならず,獲得した個別の技能が自分の経験や他の技能と関連付けられ,変化する状況や課題に応じて主体的に活用できる技能として習熟していくということが重要です。

2「知識及び技能」をどのように習得するか

様々な状況で活用できる知識を習得するためには,子供が強い問題意識のもとで,主体的に問題解決した結果として知識を獲得することができるようにします。これは,学習内容を受け身的に教えてもらって獲得するのとは異なります。主体的な問題解決を通して「わからない」という欲求が満たされていない状態から「わかった」という状態になることで,獲得した知識に価値を感じ,長期に渡って活用できる状態で保持することが可能となるからです。

また,技能については,ただ単に器具の操作手順を暗記するのではなく,その操作の意味を捉え,適切な扱い方を理解できるようにします。例えば,顕微鏡の操作について,真横から見ながら,対物レンズにプレパラートを近付けることの意味を考えたり,徐々に遠ざけてはっきりと見えるところで止める操作は,虫眼鏡でピントを合わせたことと同じであることを捉えたりすることで,主体的に目的とする操作ができるようになります。