授業はどのように変わる? 新学習指導要領 Q&A

Q10

そもそも,小学校理科の学習指導要領の目標は,どう変わったのですか?

A10

育成を目指す資質・能力を他教科等と同じく三つの柱で整理し,資質・能力を育成する過程で子供が働かせるものとして「見方・考え方」を位置付けています。

ポイント

  • 育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で整理した。
  • 資質・能力を育成する過程で児童が働かせるものとして「見方・考え方」を位置付けた。

資質・能力の三つの柱

これまでの学習指導要領は,児童にどのような資質・能力を身に付けさせるかという視点よりも,各教科等において何を教えるかを中心とした構造となっていました。そのため,一つ一つの学びが何のためか,また,どのような力を育むものかは明確ではありませんでした。

新しい学習指導要領では,これからの時代に求められる知識や力を明確にして教育目標に盛り込むことを目的として,「生きる力」を構成する資質・能力の具体化や,それらと各教科等の教育目標・内容の関係についての分析がなされ,整理されました。その結果,各教科等の目標では,柱書きに続いて,育成を目指す資質・能力を「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱で整理して示されることになりました。

小学校理科では,資質・能力を次のように整理しました。

  • 知識及び技能:自然の事物・現象についての理解を図り,観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
  • 思考力,判断力,表現力等:観察,実験などを行い,問題解決の力を養う。
  • 学びに向かう力,人間性等:自然を愛する心情や主体的に問題解決しようとする態度を養う。

とりわけ,問題解決の力では,該当学年で主に育成を目指す問題解決の力として,学習指導要領解説編に下のように示されています。

  • 三年:差異点や共通点を基に,問題を見いだす力
  • 四年:既習の内容や生活経験を基に,根拠のある予想や仮説を発想する力
  • 五年:予想や仮説を基に,解決の方法を発想する力
  • 六年:より妥当な考えをつくりだす力

見方・考え方を働かせる

理科においては,これまで「科学的な見方や考え方」を育成することを重要な目標として位置付け,資質・能力を含むものとして示されてきました。新しい学習指導要領では,資質・能力を上記に記載したようにより具体的なものとして示し,「見方・考え方」は資質・能力を育成する過程で児童が働かせる「物事を捉える視点や考え方」として整理されました。学習指導要領解説編では,「理科の見方」として,自然の事物・現象を,量的・関係的,時間的・空間的などのそれぞれの領域に特徴的な視点で捉えることとして示されています。また,「理科の考え方」として,比較したり,関係付けたりするなどの科学的に探究する方法を用いて考えることと整理されています。つまり,これまで育成することとして示されていた「科学的な見方や考え方」のうちの比較,関係付けなどが,今回は「理科の考え方」として位置付けられ,この考え方を働かせて,問題解決に必要な能力の育成を目指すことになります。