第18回

全員で学び合う授業をつくろう!③

小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」「白い黒板」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育をめざしてきた。2015年3月,小学校教師を退職。教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し,その支部は全国55か所に広がりうねりとなっている。

 対話・話し合いのある授業をつくるにあたり、先生方が一番心配されているのは、子どもたちが主体的に動けないのではないか、ということだと思います。自分の意見を言え「ない」、手が挙げられ「ない」、感想が書け「ない」等といった、マイナスの現象です。

 大切なことは、「ない」現象の原因を、その子どもに求めないことです。「ない」をどう解決していくかが、今求められているファシリテーターとしての教師の役割なのです。「ない」状況に直面したら、その原因を子どもたちと一緒に考えながら、解決していくことが大切です。

 「ない」状況は、授業の中だけでなく、学校生活全般に起こりうる現象です。授業は授業、学級生活は学級生活、ではありません。全部合わせて子どもたちが成長するのが学校生活です。だからこそ、子ども同士をつなぎ、全員が成長していくことを、教師は常に意識していく必要があるのです。


 一人ひとり違ってよいのです。その違いを理解し合うためにコミュニケーションを取っていくのです。対話・話し合いを大事にすることが、一人ひとりの新しい気付きや発見につながるのです。

 一人ひとりが大切にされるということは、全員が授業や学級での活動に参加するということです。教師は、一人も見捨てず、全員で成長していく教室づくりを心がける必要があります。そのために、肯定的な関わりや全員参加を価値付けていくことが重要なのです。

 これからの教室では、教師は、知識を教える指導者という役割だけではなく、多様な意見を持つ子ども同士をつないでいく、ファシリテーターとしての役割がより大きくなっていくのです。

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