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高学年における友だちとの関係について
豊島区立富士見台小学校 丹野裕基 先生

成長を実感することが「思いつかない」
「一度もない」割合は,小5の時点で25%を超えている。
「一度もない」割合は,小5の時点で25%を超えている。

分析
成長している実感があるかを問う質問では,成長を感じることが「思いつかない」「一度もない」と否定的に回答している割合が,小5の時点で全体の4分の1を超えており(30人学級の場合だと8人程度),小5から中3にかけて,その割合が上昇していることが分かります。

先生がクラスのことをほめてくれると
感じている割合は,85%強。
感じている割合は,85%強。

分析
先生がクラスのことをほめるかどうかについて問う質問の回答率を見てみると,全体の85%程度が「とてもよくほめてくれる」「まあまあほめてくれる」と肯定的に回答していることが分かります。反面,残りの15%程度(30人学級の場合だと4人程度)は,先生がクラスのことをあまりほめてくれないと感じている点が気になります。ほめられていないと回答している子どもはどのような子どもかを考え,その子どもに寄り添うことが大切です。
みんなで成長する学級に
高学年になると,「比較」の思考が育ってきます。多角的に思考できるようになる一方で,「できる・できない」「はやい・遅い」といった一定の尺度から自分と友だちとを比較して自己肯定感が下がったり,一つの価値観から外れた友だちに,否定的な言葉がけをしてしまったりすることがあります。また,友だちからどのように見られているかに悩んだり,男子同士・女子同士でかたまったりする様子も見られるようになります。「去年の先生はこうだった」と比べ,先生に不満を持つことも少なくありません。そして,そのような状況の中で,子どもたちが自分の成長を今まで以上に欲している時期でもあります。
こうした発達段階では,「成長」をキーワードに,自分も成長できる実感,クラスが全員で成長する意欲,この先生となら成長していけそうだという期待を新学期に持たせることが大切です。
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