第20回

全員で深め合う授業をつくろう!②

小学校教師として「ほめ言葉のシャワー」「成長ノート」「白い黒板」など現代の学校現場に即した独自の実践によりコミュニケーション力あふれる教育をめざしてきた。2015年3月,小学校教師を退職。教員同士の学びの場「菊池道場」を主宰し,その支部は全国55か所に広がりうねりとなっている。

 私は、交流的コミュニケーションの公式を次のように捉えています。


交流 =( ①非言語+②内容+③質問 )× ④グランドルール


 それぞれの要素の充実度が高まっていくことで、交流から共有へと対話・話し合いがレベルアップしていきます。

 どの要素も大切なのですが、ここでは、声や表情・態度といった「①非言語」、構成や言葉といった「②内容」、内容を広げ深めるカギとなる「③質問」、の3つについて説明します。


① 非言語

声の大きさ、速さ、口調、笑顔、うなずき、相づち、身振り、目線、思いやりのある協同的な態度など


 コミュニケーションは、聴覚的・視覚的な要素が重要です。つまり、非言語の要素が、コミュニケーションの質やあり方を大きく左右するのです。発表や話し合いの授業では、教師は話す内容ばかりに目を向けがちですが、非言語の部分を価値付けていくことで、みんなで学び合う肯定的・協同的な態度を育てていきたいものです。


② 内 容

構成、言葉、素材など


 思考を言葉にすることが大切です。言葉にしないと、考えている「つもり」になってしまうからです。子どもたち一人ひとりに自分の言葉で語らせることが、お互いに理解し合い深め合うことにつながります。内容を伝え合うに当たり、「順接」「逆接」といった、話し合いの用語につながるような言葉(接続詞など)や、聞き手目線での話の構成の組み立て方などの指導も必要です。


③ 質 問

●オープンクエスチョン:たとえば、なぜ、他には…
●クローズドクエスチョン:2択(はい/いいえ)、要するに…


 私は、対話・話し合いの具体的な技術指導として、「話す」「質問する」「説明する」の3つが、大きなポイントだと考えています。その中でも特に、「質問する」が重要だと考えます。質問を通して、新たな気付きや発見が生まれると考えるからです。

 豊かな話し合いにするためには、質問を中心とした話し合いを行うようにさせます。質問量を増やすこと、質問の質を高めることが、深い話し合いにつながっていくのです。その際に、「掘り下げよう」「全員が納得のいくようにしよう」といったような、話し合いの目的を示すことが大切です。

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