①〈前段〉 全員参加の原則

 授業は,学級全員が主体的に考え,全員で学び合う時間だと思います。そのためには,全員参加が保障されることが大切です。全員参加を視覚的に示す方法として,私の学級では「自画像」を活用しています。自画像は,4月に子どもたち自身に描かせ,黒板上部に常に貼っておきます。そして,意思決定の場面や,立場を明確にする場合に使います。

全員参加のステップ

 ① ノートに意思決定をさせる

 ② その理由をノートに書かせる

 ③ 全員の前で立場を明確にする

 ④ 隣の人と相談させ,意見を述べる

 また,挙手指名による「できる子・分かる子だけで進む授業」から脱却するために,指名の仕方にも工夫が必要です。ランダム性のある指名として,例えば,挙手した子どもを当てるのではなく,ある列を立たせて1人ずつ意見を言わせていく「列指名」があります。もちろん,教師がサポートしながら全員が言えるようにし,失敗感を与えない配慮が必要です。



②〈後段〉 考えを深め合い、意見を育てる

 意見には「深い・浅い」「強い・弱い」「具体的・抽象的」などのレベルがあります。いい意味でそれらの優劣をつける話し合いができるようになると,授業のギアが1段上がると考えています。そのために,教師が手助けしながら,子どもたちから出た意見を絞り込ませていく「思考の深まり」の過程が必要です。

 並列で出された意見に対して,「1番深い意見はどれだろう」

「1番理由がしっかりしている考えは誰の意見だろう」などと投げかけます。そして,「なぜその立場にしたのか」「なぜそう考えるのか」「根拠は何か」と連続質問するように対話させ,絞り込んでいきます。

 意見を戦わせるとはいえ,対話・話し合いを通して子ども同士の人間関係がより豊かになっていくことが目的です。相手を否定するのではなく,「相手の考え(よさ)を引き出す」ように意識させます。



③〈ふり返り〉 関わり合いの感想を書く

 授業の感想では,知識・理解面のふり返りに加え,友だちとの関わりの中で感じたことを書かせることが大切です。

感想の項目

 ①今日の授業で分かったこと(知識・理解面)

 ②今日は誰と対話したか(関係性)

 ③どんなことを言っていたか(会話文の引用)

 ④どう思ったか 等

 授業の最後に5分程度時間を設けて,毎日書かせています。最初は①〜④の型で書かせますが,年間を通して徐々に自由記述にしていくと,自分らしい感想が書けるようになってきます。

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