第6回 東書フォトコンテスト 経済・産業部門賞

経済・産業部門賞

東書フォトコンテスト経済・産業部門賞写真
  • 人手がらっきょうをつくる
  • 鳥取市立中ノ郷小学校 奥村一成
  • 撮影年月日 2008年8月8日
  • 撮影場所 鳥取県 鳥取市福部町

応募者解説

鳥取砂丘でのらっきょう栽培は,労働集約型農業の典型である。
 特に植え付けは過去幾たびか機械化が試みられたが,よい成果が得られていない。
 したがって,現在でも1球ずつ手植えをしていくのだが,植え付け時期は7月〜9月の夏真っ盛りである。
 炎天下の中,背中に日よけを負い,腰をかがめ,砂に沈む足下に注意を払いながら,事前に機械で立てた畝の間に8センチ間隔で植え付けていく。
 撮影日は8月8日,たまたま日がかげりわずかに雨が落ちてきたが,かえって蒸し暑さを呼び,「植え子」さんの苦労は倍加する。
 本当に重労働である。

講評

らっきょう栽培は鳥取砂丘の風物詩である。本作品は真夏の炎天下での植え付けの作業を中心に撮影したものだが,日本海を奥に控えた広い畑に1球ずつ手植えしている光景を見事に撮っている。コンパクトカメラよりズームして撮影されているが,瞬時にこのような光景をとらえる能力はすばらしく確かなものがある。



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応募者解説

 よいらっきょうを栽培するのには除草が欠かせない。
 砂丘と言えどいろいろな植物の種が飛んでくるので,雑草はどんどん生えてくる。
 それをこのように手作業でひとつひとつ抜いていく。
 狭い畝幅に除草のための刃物や機械のツメを入れると,肝心のらっきょうを傷つける恐れがある。
 まして生えている根本などに器具を当てるなどもっての他である。
 撮影時期11月は,らっきょうの花の最盛期であるが,膝をつき腰を曲げて作業にあたる農業者は,ひとつの草も見逃さない思いで仕事をしており,花を愛でる余裕はない。
 除草もまた機械化が困難かつ重労働の作業のひとつである。



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応募者解説

 花の咲く時期は,施肥も大事な作業である。
 らっきょうの根が張ることで砂は少し硬くなってはいるが,もちろん舗装された道ほど歩き易くはない。
 ただ,肩に食い込む肥料の重さは,歩くほどに軽くはなる。
 しかし,散布を終えるまでには広い畑なので肥料がおいてある道端まで何度も通わなければならない。
 道端には肥料袋が山と積んであった。



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応募者解説

 よいらっきょうを栽培するためには農薬による消毒も必要。
 出荷前には,徐々に消毒の期間を空け,回数を減らすが,花のこの時期は冬に向け入念に消毒をする。
 消毒薬の出る棒は圧力のかかった農薬で重く,農薬を送るホースもまたタンクやコンプレッサーのあるトラックからは遠いので,一人で引っ張ることはできない。
 これもまたスプリンクラーによる散水のように楽ではない作業である。



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応募者解説

 収穫の前に芝刈り機のような機械で地上部を切断したあと,払い機で切り取った部分を一列に固める(写真の中に見えるエンジ色の筋)。
 その後,トラクターで掘り上げていくいくのだが,受けかご(コンテナ)に均等に入るように機械の後ろについて人が歩かなければならない。
 らっきょうはどこまでも手間のかかる作物である。
 掘りあげ直後のらっきょうには砂も付いているのでコンテナ一籠が20キログラム以上ある。
 雨の日や砂がしめって付きやすい日は,25〜30キログラムにもなる。



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応募者解説

 地上部切断後,少し日を置いて手堀りしたらっきょう。
 生命力の強いらっきょうは,地上部を切断してもすぐに目を伸ばしてくる。
 夏に手植えした1球が分げつを繰り返して増えていくので,時には20球近くになるものもある。
 玉太りがよすぎて結球数が少なくても,結球数が多くて玉が小さすぎても農家にとっては悩みとなる。
 5〜6球ぐらいが農家の望むサイズである。



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応募者解説

 掘りあげたらっきょうは根付きのまま出荷する「根付きらっきょう」と頭とおしりを切りそろえ洗ってから集荷する「洗いらっきょう」に大別される。
 根付きらっきょうといっても,頭も根も切る作業は欠かせない。どちらのらっきょうにするにしてもらっきょうを切りそろえる「切り子」さんが欠かせない。
 生産者はもとより,親戚,知人を頼って近隣の市町にまで「切り子」を求める。
 器具にセットした包丁の切れ味は相当のものであるが,砂付きらっきょうを切るのですぐに切れ味は落ちていく。
 生産者は,その日の依頼分を「切り子」に持ち込むとき,研ぎ直した包丁を一緒に渡し,切れが悪くなった包丁を持ち帰る。



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応募者解説

 「切り子」さんから回収してきたらっきょうを計量した後,砂やゴミを払う機械へかけるためバケットに人力で投入する。
 持ち込みは,夕方の限られた時間が指定されているので,みんなが協力して次から次へとらっきょうコンテナをバケットへ放り込んでいきます。
 根切りしたコンテナ一籠は15キログラム以上あり,人力投入=ハンドリング作業は重労働である。
 建物の外には搬入の順番を待つ軽トラックが並んでいる。



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応募者解説

 根付きらっきょうの選果風景。
 薄い皮や砂粒,ゴミを風の力で吹き飛ばしはするが,やはり人の目での点検・確認が欠かせない。
 作業員の足下には,出荷に適さないらっきょうを取り置く青いコンテナが並んでいる。
 ここでも人手をかけることが,よいらっきょうに繋がるのである。
 根付きらっきょうは,この後一度洗ってきれいにして,熱を取ってから段ボールに詰めて出荷する。


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