- ○基礎的・基本的な事項が過不足なくコンパクトに網羅されている。また,例と問とのギャップをなくしスムーズに授業が展開できるように工夫して編集されている。
- ○導入は,数学的活動を取り入れた具体例から入り,数学的な思考力・表現力が育まれるなど,学習者の意欲を喚起するように配慮されている。また,基礎的・基本的な内容の理解度が確認できるように節末に定着確認のための問題を設けられている。
- ○「1章 場合の数と確率」では,第0節として,場合の数で使われる集合の基本的な用語や性質を整理したものが取り上げられており,数学Ⅰの復習との関連について配慮されている。(p.6~7)
また,巻末資料として,数学Ⅰの集合の内容が載っている。(p.151~157)
集合の要素の個数は,ベン図を多く用いて説明することで,数学Ⅰとの関連を考慮するとともに,生徒の直感的な理解を助けるような構成となっている。(p.8~11)
個数の数え方では,もれもなく重複もなく数えるのに樹形図が有効であることを示し,樹形図を用いて与えられた数字からつくることのできる整数の個数を求める問題を例2で扱っている。(p.12)
順列,組合せの応用では,0を含む整数の個数の問題を例題6で,最短経路の総数を求める問題を例題9で取り上げるなど,丁寧に扱っている。(p.19,27)
2つの事象の関係や確率の基本性質,余事象の確率などでは,集合で学ぶベン図を添えて,視覚に訴えた説明をしている。(p.36~41)
独立な試行の確率では,2つの独立な試行で起こる事象の和事象の確率を求める問題を例題1で扱っている。(p.45)
条件つき確率では,確率の乗法定理を用いて,くじの公平性や検査の精度に関する例題を扱っている。(p.53~54)
- ○「2章 整数の性質」では,約数,倍数,素数,素因数分解,最大公約数,最小公倍数のような小学校や中学校で学習してきた内容について,より数学的な記述によってまとめ直している。
また,まとめ直しに終始することなく,例題を通してそれらの知識を活用できるように配慮されている。(p.60~69)
約数の利用では整数a,bの組を求める問題を例題3で扱っている。(p.64)
ユークリッドの互除法は,生徒にとって理解しにくい箇所であるため,文章による説明だけでなく,図解も加え,生徒が理解しやすくなる構成している。そして,2つの整数の最大公約数への応用である例4を目標としている。(p.76~77)
1次不定方程式への利用では,1組の整数解を求める問題を例題3で紹介し,それを踏まえ,例題4を紹介している。(p.80~81)
整数の性質の活用では,2進法を中心とした数の表し方や既約分数が有限小数となる条件を数値例で示しながら,一般の場合に対応できるようにしている。(p.84~90)
- ○「3章 図形の性質」では,三角形において特定の3本の線が1点で交わるという観点から,重心,外心,垂心,内心を統合的に扱うことで,論理的に証明の手順を考えられるに工夫されている。(p.104~107)
チェバ・メネラウスの定理は定理の証明し,問があるだけでなく,チェバ・メネラウスの定理の逆も紹介しており,理解が深まるように工夫されている。
(p.109~111)
円周角の定理は中学校で学習した内容ではあるが,円の性質の基本であるため,復習として紹介されている。(p.115)
方べきの定理は,まず定理とその証明を示し,次に定理を活用する例を示して類似問題を解かせるという学習しやすい流れの構成となっている。(p.121~122)
作図では,二等分線や円の接線の作図から入り,線分の長さを作図することやその手順を考えることを目標にした扱いとなっている。(p.127~131)
空間図形では,中学校で学んだ空間における直線や平面の位置関係を整理して,三垂線の定理の証明に応用している。正多面体・オイラーの多面体定理を紹介している。(p.134~141)
- 〇課題学習は,学習内容と実生活との関連が十分に図られており,生徒の興味・関心を高める数学的活動を重視した課題が扱われている。また,章末に掲載しているため,生徒や学校の実態に応じた指導ができるように配慮されている。○「発展的な学習内容」には「発展」マークを付し,本文と明確に区別されている。また,関連する
内容と同じ章に掲載されていて,生徒や学校の実態に応じて無理なく扱えるように工夫されている。例えば,整数の性質の発展として,「合同式」が適切に扱われている。(p.96~97)
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