- ○基礎的・基本的な事項を過不足なく取り上げ,例・例題を参考にすれば問題が解ける,問題を解くことによって数学的な思考力・表現力が育成されるなど,学習者の意欲を喚起するように編集が工夫されている。
- ○各項の冒頭に「ねらい」,例の前には何のための問題なのかを明記する一文を設け,目的意識をもって学習に取り組めるように配慮されている。
- ○各ページ右段に,その問題を解くために必要な公式,知識,注意すべき内容を取り上げた「側注」を設け,基礎的・基本的な知識や技能が確実に定着するように工夫されている。
- ○ページの右段には,適宜「ここに注意!」で正答と典型的な誤りを併記してその解説を記述し,注意を喚起して正しい理解に至るように工夫されている。
- ○「1章 場合の数と確率」では,集合の用語や部分集合・全体集合と補集合および共通部分と和集合の内容が1項「集合」として集合の要素の個数の直前で扱われている。(p.6~7)
集合の要素の個数では,和集合の要素の個数を求めるのに共通部分の個数を除く考えを用いるので,まず補集合の要素の個数を先に扱い,和集合の場合は後で取り上げて無理なく理解できるように指導の順序が配慮されている。(p.8~9)
条件のついた順列では,イラストを用いて理解を助ける配慮がされている。(p.15)
組合せの利用は,前ページの組合せの性質を用いる例題から入り,円上の点を頂点とする三角形の個数を求める例題,男子7人から3人を,女子5人から2人を選ぶ選び方の総数を求める例題,そして,4本の平行線と5本の平行線が交差しあう図の中から作られる平行四辺形の個数を求める例題へと段階的に程度を上げて丁寧に扱われている。(p.20~21)
確率の計算では,例や例題の問題場面に関連したトランプや袋の中から球を取り出す様子などの写真を提示して,問題の構造が理解しやすいように丁寧に構成されている。(p.26~27)
余事象の確率に関連して,同じクラスに誕生日が同じ人がいる確率を「数学ミュージアム」というコーナーで取り上げ,生徒の関心を引きつけるように示されている。(p.31)
- ○「2章 図形の性質」の導入では,中学校で学んだ平行線と角,三角形の角の性質,三角形の相似条件,三角形における比の性質,中点連結定理を取り上げ,それらの復習ができるように配慮されている。(p.44~47)
円周角の定理は中学校で学んでいるが,円の性質の基本として丁寧に扱われている。(p.54~55)
作図は,中学校で学んだ垂直二等分線や角の二等分線の作図から入り,線分をいろいろな比に分ける点を作図することまでを扱い,基本的な図形の性質を活用した作図の技能が定着できることを目標にして構成されている。(p.66~69)
空間図形は,中学校で学んだ空間における直線や平面の位置関係やなす角などの基本的な内容についてと,正多面体は5種類あり,それらの構成要素の数について調べたり,正二十面体を巻末に綴じられた厚紙を使って作ったりする程度の扱いになっている。(p.70~74,121,123,125)
- ○「3章 整数の性質」では,約数と倍数として,約数と倍数の定義の確認,素数の求め方と素因数分解,最大公約数・最小公倍数の求め方とその関係,ユークリッドの互除法を用いた最大公約数の求め方を,具体的な数値例を用いて丁寧に扱っている。(p.78~85)
方程式の整数解では,約数や倍数を考えることによって方程式の整数解を求めることを中心に取り上げ,不定方程式はax+by =1の整数解を求めることを目標にして扱われている。(p.88~90)
分数が有限小数や循環小数で表される仕組みや2進法などの記数法の仕組みでは,具体的な数値例を用いて説明されており,いろいろな例を示すことで,一般の場合にも対応できるように配慮されている。(p.91~97)
- ○課題学習は,学習内容と実生活との関連が十分に図られており,生徒の興味・関心を高める数学的活動を重視した課題が扱われている。(p.108~111)
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