- ○基礎的・基本的な事項が過不足なくコンパクトに網羅されている。また,例と問とのギャップをなくしスムーズに授業が展開できるように工夫して編集されている。
- ○導入は,数学的活動を取り入れた具体例から入り,数学的な思考力・表現力が育まれるなど,学習者の意欲を喚起するように配慮されている。また,基礎的・基本的な内容の理解度が確認できるように節末に定着確認のための問題を設けられている。
- ○「1章 数列」では,一般項の定義を示した後,一般項を推定する具体例を例2で扱うことで,一般項の概念を理解しやすくしている。(p.7)
少し複雑な数列として,群に分かれている等差数列を例題10で扱っている。解答ではポイントになる箇所に色を付け,理解しやすいように工夫されている。(p.29)
an+1=pan+qの形の漸化式は,最初に
p=2,q=-1のときの漸化式が等比数列であることを示し,次に
α=pα+qを満たす数αを用いた解法を例題2で扱っている。(p.33~34)
数学的帰納法は,具体例から導入し,丁寧に記述されている。さらに,例題4で等式の証明,例題5で不等式の証明,例題6で漸化式から推定した一般項の証明など,数学的帰納法の活用が示されている。(p.36~39)
- ○「2章 ベクトル」では,ベクトルの分解で,例題1を通して,ベクトルの1次独立について説明している。(p.54~55)
ベクトルの図形への応用では,内積を用いた三角形の面積の公式を例題3で扱っている。また,内積の図形への応用として,中線定理や例題4で垂心について取り上げている。(p.72~73)
空間のベクトルは,平行と分解,成分,内積の順で示している。平面上のベクトルを拡張したものであるため,平面の場合と同様の順序にしている。(p.88~94)
空間における位置ベクトルでは,3点が一直線上にあるための条件や4点が同一平面上にあるための条件など,空間図形への活用を示している。(p.96~97)
- ○「3章 確率分布と統計的な推測」では,「数学A」で学んだ確率と条件つき確率の復習から導入している。(p.110~111)
確率変数の分散では,平均の値だけでは確率分布の違いを表すことができないことを示し,散らばり具合を表す数値として分散を考えることを,棒グラフによって印象づけている。(p.120)
確率変数の和の平均,独立な確率変数の積の平均と和の分散では,硬貨やさいころを投げる簡単な試行を例にして,一般に成り立つ公式を示している。(p.124~128)
大きさ2の標本から4,8,16と2倍ずつ増やしていった場合のグラフを,正規分布の曲線と重ね合わせてかき並べている。それにより,標本の大きさ
nが大きければ,標本平均の分布は正規分布とみなしてよいことを,視覚的に理解できるようにしている。(p.150~151)
- ○「発展的な学習内容」には「発展」マークを付し,本文と明確に区別されている。また,関連する内容と同じ章に掲載されていて,生徒や学校の実態に応じて無理なく扱えるように工夫されている。例えば,漸化式の発展として,「3項間漸化式」が適切に扱われている。(p.44,45)
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