道徳のこと。 ぜひ,ご一緒に。
 道徳Q&A
中学校道徳授業に役立つ20の質問

Q18

道徳科における言語活動とはどのようなことを言うのですか?

A18

集団の中で生徒がそれぞれ考えを伝え合うことを通じて,
自分の考えを多面的・多角的な視点から振り返って考えさせます。

 道徳科の授業においては,中心的な教材を通して,生徒の体験や教材に対する感じ方や考え方を交えながら話し合いを深めることが学習活動の中心となることが多いです。生徒は,教材や体験などから感じたことや,考えたことをまとめ,発表し合ったり,討論などにより考え方,感じ方の異なる考えに接し,協働的に議論したりします。そして,このような言語活動を通して,道徳科のねらいである道徳的価値の理解をもとに人間として生き方についての自覚を深めることになります。その意味からも,道徳の時間における言葉の役割はきわめて大きいと言えます。
 したがって,授業を行う際,その学習指導過程に,生徒が自分の考えをまとめて人に分かりやすいように書いたり,発表したりして,表現する機会を設けることが大切です。
 具体的には,発問に対して自己と対話し,じっくり考えさせるために,ワークシートに自分の考えを書く活動を位置付け,それをもとに自己を語るようにさせたり,大きな集団の中で自分の意見を表すことが苦手な生徒に対して,数人のグループで語り合う機会を設け,多人数の話し合いに移行させたりする工夫が求められます。また,これらの工夫を取り入れる際には,次のような配慮が必要です。
 まず,ワークシートの活用に関しては,全ての発問に対して書く活動を取り入れると,書く活動に終始してしまうという点です。そこで,ワークシートに自分の考えをまとめさせるときに,例えば,導入において自己の体験を想起させ,自分の道徳的な見方や考え方をまとめさせたり,中心発問に対してじっくり考えさせたり,展開後段で自分の考えを多面的・多角的に振り返って考えさせたりする場面に限定する必要があります。
 また,数人のグループで話し合いをさせる場合は,グループ発表を通じて他の生徒の意見をじっくりと聞き学ぶことができるという効果も期待できます。例えば,中心発問に対して,自分の考えをまとめさせた後にグループによる話し合いを取り入れたりすることが効果的ですが,グループ内で発問に対する考えをまとめさせないようにしたり,グループでの話し合いの後に学級全体の話し合いの場をもつようにしたりする配慮が大切です。
 最後に,授業者には,学級内の人間関係や環境を整え,生徒一人一人が安心して意見を述べることができるような場を設定する努力が求められます。

ページを閉じる

ページの先頭へ