道徳のこと。 ぜひ,ご一緒に。
 道徳Q&A
中学校道徳授業に役立つ20の質問

Q17

道徳科における問題解決的な学習は
どのように進めればよいのですか?

A17

ねらいと関わる生徒の道徳的体験を取り上げ,
それらに潜む道徳的問題を明らかにします。

 最初に,道徳科における「問題解決的な学習」とは,どのようなことを言うのかを考えなくてはいけません。『中学校学習指導要領解説 特別の教科道徳編』(平成29年7月)には,次の記述があります。

道徳科における問題解決的な学習とは,生徒一人一人が生きる上で出会う様々な道徳上の問題や課題を多面的・多角的に考え,主体的に判断し実行し,よりよく生きていくための資質・能力を養う学習である。

 したがって,道徳科における問題解決的な学習は,生徒一人一人がこれから生きる上で出会うような道徳上の問題や課題を主体的に解決するための道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てなければなりません。
 日々の生徒の学校生活を見ると,例えば「なかなか挨拶をすることができない。」「自分に与えられている係活動や清掃活動をしっかり行うことができない。」といった課題を感じることがあります。確かに,「挨拶をしっかりする。」「自分の係活動をしっかり行う。」ということについて,よりよい学級を作るために話し合うことが大切ですが,これは学級活動を通して解決する課題です。道徳科においては,「自分から率先して挨拶をしたり,係活動をしっかり行ったりすることのよさ」(道徳的価値)に気づかせ,自らが主体的に行動できるような気持ちを育てる指導が必要です。
 問題解決的な学習を効果的に行う方法として,導入の段階で,ねらいと関わる生徒の道徳的体験(日常生活体験や体験活動など)を取り上げ,それらに潜む道徳的問題を明らかにし,自分の問題(学習課題)として意識させることが大切です。例えば,導入で,

「あなたにとって,友達とはどんな存在ですか。」
「どのような気持ちでふだん,友達と接していますか。」

といった発問をし,「今の自分にどのような気持ちをもつことが大切か。」という学習指導過程の導入から展開に入る段階で「学習課題」を提示することで,生徒自らが教材を通して何を学ぶのかという見通しを立て,問題意識をもち,自分の課題としてその解決のために主体的に学習に取り組むことができます。
 そこで,問題解決的な学習を行うためには,これまで以上に生徒の実態に基づいた授業を行うことが大切になります。そのためにも,授業者が本時の主題(内容項目)と関わる生徒の実態を,日常生活やアンケート調査,体験活動の振り返りなどから把握し,行動の背景にある生徒の気持ちを分析しておくことが大切です。

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