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A8
道徳科の教材は「ねらい」を達成するための
材料であり,教材に頼りすぎないことが大切です。
道徳科の教材については,『中学校学習指導要領』(平成29年3月)第3章特別の教科道徳に,多様な教材として,生命の尊厳,社会参画,自然,伝統と文化,先人の伝記,スポーツ,情報化への対応などの現代的な課題が挙げられています。
また,教材については,次の観点に照らし,適切と判断されるものであることとされました。
❶ ねらいを達成するのにふさわしいもの。
❷ 人間尊重の精神にかなうもの。
・生徒が深く考えることができるもの。
・人間としてよりよく生きる喜びや勇気を与えられるもの。
❸ 特定の見方や考え方に偏っていないもの。
平成31年度からは,主たる教材として教科用図書(検定教科書)を使用することになりますが,これらの内容は,教科用図書検定調査審議会「『特別の教科道徳』の教科書検定について」(報告)(平成27年7月23日)に,道徳科の固有の条件として盛り込まれ,これに沿って検定教科書が編集されるものと思います。
また,これまで活用されてきた各地域で作成されている郷土資料などの活用も重要とされています。
道徳科の授業は「ねらい」とする道徳的価値について生徒一人一人が主体的に自覚を深めることにあり,道徳教材はそのための材料であることを十分認識し,教材に頼りすぎないことが大切です。
道徳教材を活用するには,教材の分析が重要となります。読み物教材を例にすると,
❶ 教材の場面を読む。
教材に描かれているいくつかの場面をイメージさせて,中心発問に結び付く場面を設定する。行間の場面もある。
❷ 登場人物の心の動きを読む。
取り上げた場面に描かれている登場人物(特に,主人公)の心の動きや行動の変化を読み取る。
❸ 「ねらい」とする道徳的価値を把握した場面を読む。
(自己や社会の未来に夢や希望をもつ。)
主人公が今の自分を乗り越えた,あるいは自分を変えた場面を読み取る。
この分析をもとに,生徒の発達の段階や理解の程度を十分に考慮して,展開前段の発問(基本発問)を構成します。
なお,発問を構成した教師が,教材全体の流れを考えながら範読することが望ましいです。