教科書・シラバスのご紹介

数学数学シリーズ

検討の観点と内容の特色

数学B

教番
2東書 数B 301
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項目 観点

内容の選択・程度

  • *学習指導要領の教科の目標を達成するため必要な教材が適切に用意されているか。
  • *基礎的・基本的事項の理解や習得のため適切な配慮がなされているか。
  • *発展的な学習内容の取り扱いに対する適切な配慮がなされているか。
  • ○基礎的・基本的な事項が過不足なくコンパクトに網羅されている。また,例と問とのギャップをなくしスムーズに授業が展開できるように工夫して編集されている。
  • ○導入は,数学的活動を取り入れた具体例から入り,数学的な思考力・表現力が育まれるなど,学習者の意欲を喚起するように配慮されている。また,基礎的・基本的な内容の理解度が確認できるように節末に定着確認のための問題を設けられている。
  • ○「1章 数列」では,一般項の定義を示した後,一般項を推定する具体例を例2で扱うことで,一般項の概念を理解しやすくしている。(p.7)
    少し複雑な数列として,群に分かれている等差数列を例題10で扱っている。解答ではポイントになる箇所に色を付け,理解しやすいように工夫されている。(p.29)
    an+1=pan+qの形の漸化式は,最初に p=2,q=-1のときの漸化式が等比数列であることを示し,次に α=pα+qを満たす数αを用いた解法を例題2で扱っている。(p.33~34)
    数学的帰納法は,具体例から導入し,丁寧に記述されている。さらに,例題4で等式の証明,例題5で不等式の証明,例題6で漸化式から推定した一般項の証明など,数学的帰納法の活用が示されている。(p.36~39)
  • ○「2章 ベクトル」では,ベクトルの分解で,例題1を通して,ベクトルの1次独立について説明している。(p.54~55)
    ベクトルの図形への応用では,内積を用いた三角形の面積の公式を例題3で扱っている。また,内積の図形への応用として,中線定理や例題4で垂心について取り上げている。(p.72~73)
    空間のベクトルは,平行と分解,成分,内積の順で示している。平面上のベクトルを拡張したものであるため,平面の場合と同様の順序にしている。(p.88~94)
    空間における位置ベクトルでは,3点が一直線上にあるための条件や4点が同一平面上にあるための条件など,空間図形への活用を示している。(p.96~97)
  • ○「3章 確率分布と統計的な推測」では,「数学A」で学んだ確率と条件つき確率の復習から導入している。(p.110~111)
    確率変数の分散では,平均の値だけでは確率分布の違いを表すことができないことを示し,散らばり具合を表す数値として分散を考えることを,棒グラフによって印象づけている。(p.120)
    確率変数の和の平均,独立な確率変数の積の平均と和の分散では,硬貨やさいころを投げる簡単な試行を例にして,一般に成り立つ公式を示している。(p.124~128)
    大きさ2の標本から4,8,16と2倍ずつ増やしていった場合のグラフを,正規分布の曲線と重ね合わせてかき並べている。それにより,標本の大きさ nが大きければ,標本平均の分布は正規分布とみなしてよいことを,視覚的に理解できるようにしている。(p.150~151)
  • ○「発展的な学習内容」には「発展」マークを付し,本文と明確に区別されている。また,関連する内容と同じ章に掲載されていて,生徒や学校の実態に応じて無理なく扱えるように工夫されている。例えば,漸化式の発展として,「3項間漸化式」が適切に扱われている。(p.44,45)
項目 観点

組織・配列・分量

  • *内容の組織・配列は,学習指導を有効に進められるように考慮されているか。
  • *分量は学習指導を有効に進められるように考慮され,精選されているか。
  • *弾力的な取り扱いに対する配慮がなされているか。
  • ○学習指導要領に示された「内容」と「内容の取り扱い」に準拠していて,生徒の実態に即した必要かつ十分な内容が適切に組織・配列されている。
  • ○例・例題→問→節末問題→章末問題の順に,段階を追って一定レベルの問題が過不足なく取り上げられており,その分量も適切である。
  • ○章の扉では,数学者の功績と言葉を取り上げ,数学を学習する意義や有用性を重視し,言語に対する関心や理解を深めるなど言語力育成にも配慮した構成になっている。
  • ○章の章末には身の回りの事象を数学的に考察する「コラム」を設け,数学への興味・関心が広げられるようにしている。
項目 観点

表記・表現及び指導に対する工夫や配慮

  • *学習意欲を高めるための配慮がなされているか。
  • *用語・記号の取り上げ方や記述のしかたは適切か。
  • *生徒の自学自習への配慮や工夫がなされているか。
  • *指導書や周辺教材での工夫や配慮がなされているか。
  • ○全編を通して本文の理解を助けるように,イラスト,図,写真が適切に用いられている。
  • ○必要に応じて色を使い,視覚的な内容理解ができるように配慮されている。
  • ○用語・記号は統一されており,記述の仕方も適切である。
  • ○綴じ込み付録として,「公式集」が添付されており,教科書の参照ページも記されているなど,自学自習のための配慮が行き届いている。
  • ○教科書を支援する指導書や周辺教材などが充実しており,指導しやすい教科書である。
項目 観点

印刷・造本上の配慮

  • *印刷の鮮明さ,活字の大きさ,行間,製本などは適切か。
  • *環境保全や生徒の多様な特性に配慮がなされているか。
  • ○活字は鮮明で美しく,写真,イラストなども鮮明で効果的である。
  • ○製本は堅牢で,開きやすい様式である。
  • ○図やグラフの色使いなど,色覚特性への配慮を含むユニバーサルデザインとなっており,全ページにわたって配色を工夫するなど,だれもが見やすい紙面になっている。
  • ○本文の用紙には再生紙と植物油インキを使用し,地球環境や資源に及ぼす影響も考慮されている。
項目 観点

総合所見

  • *上記観点から見た,全体的・総合的な当教科書の特徴
  • ○教科目標達成に必要な学習事項・定番問題がコンパクトに網羅されていること,学習内容を表す小見出しを多用した内容のまとまりのよさ,具体例からの導入,内容理解を高めるための図解・色を使った説明など,生徒および指導者にとって効率的に学習効果があげられるように編集された教科書である。また,数学の楽しさが体感できるようにも工夫されている。

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