Q1
A1
「共に考え,共に語り合う」ことを重視した
道徳の授業への改善を図ることが大切です。
今回の「道徳の教科化」(特別の教科道徳の設置)について,中央教育審議会答申に「道徳教育をめぐっては,児童生徒に特定の価値を押し付けようとするものではないかなどの批判が一部にある。」とあります。
これを受けて,『中学校学習指導要領解説総則編(抄)』(平成27年7月)には次のように示されています。
「特定の価値観を押し付けたり,主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは,道徳教育が目指す方向の対極にあるものと言わなければならない」,「多様な価値観の,時に対立がある場合を含めて,誠実にそれらの価値に向き合い,道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質である」との中央教育審議会の答申を踏まえ,発達の段階に応じ,答えが一つではない道徳的な課題を一人一人の生徒が自分自身の問題と捉え向き合う「考える道徳」,「議論する道徳」へと転換を図るものである。
道徳教育に対して誤った解釈をされる場合もあることを考え,また,国民全体に向けて,特別の教科道徳の特質を明確に分かりやすく伝えるため,「考え,議論する道徳」という言葉が使われたと考えます。
『中学校学習指導要領解説 特別の教科道徳編』 (平成29年7月) の内容の捉え方に,「教師と生徒が人間としてのよりよい生き方を求め,共に考え,共に語り合い,その実行に努めるための共通の課題である。」とあるように,昭和33年からこれまで,道徳の授業は,教師と生徒,生徒と生徒が「共に考え,共に語り合う」ことを重視して授業を展開してきました。
しかし,道徳教育の充実に関する懇談会報告で,
・ 道徳の時間に何を学んだかが印象に残るものになっていない。
・ 学年が上がるにつれて,生徒の受け止めがよくない。
などの指摘を受けています。
最後に,「考え,議論する道徳」に向けて,改善の観点を三つ上げてみます。
◆「ねらい」は,生徒の発達段階を考え,生徒が主体的に学ぶ内容になっているか。
◆ 学習指導過程は,共に考え,共に語り合うなどの対話的な活動を取り入れているか。
◆ 人間としての生き方を深く考えるとともに,生徒が自らを振り返り,道徳的価値を高める構成になっているか。