平成30年度用「新しい道徳」が先生がたの授業をサポートいたします!

道徳の授業 いじめ問題への効果

道徳の授業を毎週やったら,本当にいじめはなくなるの?

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道徳の授業で,まず教室が落ち着きます。これは,道徳をしっかりやり始めると,先生がたが必ず気づかれることです。

「教室が落ち着く」だけでなく,道徳の授業をしっかりやることで「学力の向上に効果がある」という印象をお持ちの先生がたが多いという調査もあります。

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教室が落ち着くということは,子供たちの心が自他に向かって開かれるということです。これは,閉じた心が生みだすいじめの芽を育てない,よい環境です。

その環境をつくると同時に,平成27年3月告示の学習指導要領では,いじめ問題への対応として,第1・2学年に「個性の伸長」「公正,公平,社会正義」,第3・4学年に「相互理解,寛容」「公正,公平,社会正義」,第5・6学年には「よりよく生きる喜び」の内容項目が追加されました。


……とは言っても,「いじめってなくなるの?」と,誰もがどこかで思っています。
子供たちだって気づいています。だからこそ,「いじめは許されない」というだけの
授業では何も生まれません。そこで私たちは,ユニット「いじめのない世界へ」で,
いじめについてさまざまな角度から考えられるよう工夫しました。

ユニット「いじめのない世界へ」を構成する3つの要素

とびらページ

ユニットの導入ページです。イラストや言葉,文章から成り,
子供たちに,これからいじめについて考えるという示唆を与えます。

直接的教材

いじめを題材として直接扱った教材です。

間接的教材

いじめを題材として直接扱わずに,
「いじめをしない,許さない心」を育てるのに適した教材です。

ユニット「いじめのない世界へ」全学年ラインアップ

学年 とびらページ 第1教材 第2教材
1年 いじめの ない せかいへ 16 ダメ 17 こころはっぱ
2年 いじめの ない せかいへ 18 おれた ものさし 19 かっぱ わくわく
3年 いじめのないせかいへ 6 しょうたの手紙 7 いいち,にいっ,いいち,にいっ
4年 いじめのない世界へ 9 わたしの見つけた小さな幸せ 10 いっしょになって,わらっちゃだめだ
5年 いじめのない世界へ 8 転校生がやってきた 9 ノンステップバスでのできごと
6年 いじめのない世界へ 10 ばかじゃん! 11 ピアノの音が……

「いじめは許されない」というだけの教材ではありません

ユニット「いじめのない世界へ」を3年生の授業展開例(2時間)でご説明します。

第一時

とびらページ

とびらページ

p.29

 「いじめのないせかいへ」とタイトルがあり,「楽しいクラスをつくるのは,だれだろう?」と児童に問いかけています。楽しいクラスをつくるのは,ほかでもない自分だという意識を持って,1つ目の教材に入ります。

第1教材「6 しょうたの手紙」

第1教材「6 しょうたの手紙」

p.30〜32

直接的教材

 「よりよい学校生活,集団生活の充実」の教材ですが,楽しいクラスづくりを妨げるものとしてのいじめ問題を真正面から取り上げて,「いじめは許されない」ということを改めて確認します。とびらページにあった問いかけとも絡めて,児童が当事者意識を持てるようにします。

第二時

第2教材「7 いいち,にいっ,いいち,にいっ」

第2教材「7 いいち,にいっ,いいち,にいっ」

p.33〜36

間接的教材

 「友情,信頼」の教材です。協力し,助け合うことで,やがてあいちゃんのよさに気づく主人公ですが,最初は相手を疎ましく思う気持ちがありました。主人公の気持ちの変化をたどると,個性の異なる友達との間にも友情が芽生えることを学ぶことができます。そして,このよい変化を当然のこととして受け止めるのではなく,最初の悪い感情が言動次第ではいじめに発展しかねなかったことに注目することで,この教材がいじめの間接的教材になります。

とびらページ

とびらページ

p.29

 第2教材が終わった後に,とびらページに戻ります。とびらページには,「しょうたの手紙」で先生が,しょうたの手紙をみんなに読んでいる絵と,「いいち,にいっ,いいち,にいっ」の主人公ちえが,あいちゃんに対する自分の最初の気持ちを思い出している絵があります。2つの教材を関連させることで,しょうたのクラスの問題は,ちえが抱いていたような,誰にでも覚えがある程度のちょっとした悪い感情が発端になっていることを意識できるようになっています。更には,ちえのどんな言動がいじめを生まないことにつながったのかを考えさせると,児童にもできる具体的な行動が見えてきます。

いじめ問題と道徳の教科化との関係

平成28年11月18日付で,松野博一文部科学大臣よりメッセージ「いじめに正面から向き合う『考え,議論する道徳』への転換に向けて」が発信されました。

11月2日,いじめ防止対策協議会から,いじめの防止等の対策に係る提言をいただきました。文部科学省は,これに沿った取組を様々な角度から総合的に進めてまいります。その中でも,私は特に,平成30年度から全面実施となる「特別の教科 道徳」の充実が,いじめの防止に向けて大変重要であると思っています。(中略)道徳の特別の教科化の大きなきっかけは,いじめに関する痛ましい事案でした。(注1) これまでも道徳教育はいじめの防止に関して大きな役割を負っていました。しかし,これまでの道徳教育は,読み物の登場人物の気持ちを読み取ることで終わってしまっていたり,「いじめは許されない」ということを児童生徒に言わせたり書かせたりするだけの授業になりがちと言われてきました。現実のいじめの問題に対応できる資質・能力を育むためには,「あなたならどうするか」を真正面から問い,自分自身のこととして,多面的・多角的に考え,議論していく「考え,議論する道徳」へと転換することが求められています。(注2)このため,道徳の授業を行う先生方には,是非,道徳の授業の中で,いじめに関する具体的な事例を取り上げて,児童生徒が考え,議論するような授業を積極的に行っていただきたいと思います。いじめやいじめにつながる具体的な問題場面について,例えば,「どのようなことが,いじめになるのか。」「なぜ,いじめが起きるのか。」「なぜ,いじめはしてはいけないのか。」「なぜ,いじめはいけないと分かっていても,止められなかったりするのか。」「どうやって,いじめを防ぐこと,解決することができるのか。」「いじめにより生じた結果について,どのような責任を負わなくてはならないのか。」といったことについて,自分のこととして考え,議論して学ぶことが大切であると考えます。こうした学びは,いじめという問題だけではなく,道徳教育の目標である「自己の生き方を考え,主体的な判断の下に行動し,自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」ことそのものにつながるものであると思います。(中略)教職員の方々はもとより,学校教育に関わる皆様に広く知っていただき,力を合わせて,道徳教育の充実に取り組んでまいりますので,よろしくお願いいたします。

平成28年11月18日
文部科学大臣 松野 博一

出典:文部科学省ホームページ(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/11/1379623.htm)
※一部表記を変更している箇所があります。

(注1)平成23年10月に起きたいじめによる自殺事件に起因して平成25年6月「いじめ防止対策推進法」が成立(9月施行)。平成25年2月,教育再生実行会議が道徳の教科化を提言。文部科学省に設置された「道徳教育の充実に関する懇談会」が12月「今後の道徳教育の改善・充実方策について」を報告。平成26年2月,中央教育審議会に「道徳に係る教育課程の改善等について」が諮問され,10月の答申で「特別の教科 道徳」(仮称)として教育課程に位置づけることが示された。

(注2)平成27年3月27日に学校教育法施行規則を改正するとともに,小学校学習指導要領,中学校学習指導要領及び特別支援学校小学部・中学部学習指導要領の一部改正の告示を公示。改正小学校学習指導要領は,平成30年4月1日から全面実施。この改正は,道徳を「特別の教科 道徳」として教育課程に位置づけ,「考え,議論する道徳」への転換を図るものである。