「日本史探究」ダイジェスト版
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から存在あったのはどのよから,朝けていたらは,幕かを,そは鎌倉のものでするなか,それが受け止め。。立博物館蔵) かった武む蔵さしある畠はたけ山やま重しげ忠ただ納したと伝えも造ぞうしたもの。5101520第2章 歴史資料と中世の展望75尋じん尊そんが記した日記 尋尊は摂せっ関かん家けの一いち条じょう家出身で,興こう福ふく寺じ大乗院門跡となり興福寺別べっ当とうともなった。後ご花はな園ぞの天皇が足あし利かが尊たか氏うじのための仏事を開催しようとしたが,僧そう侶りょにあたえる布ふ施せを集めることができず,取りやめになったことに対する感想。 (足あし利かが)尊たか氏うじの仏事のため、禁きん裏り(後ご花はな園ぞの天皇)より一いち条じょうの安あん楽らく光こう院いんにおいて御み八はっ講こう始行あるべきの由よし、兼けん日じつにその沙さ汰たに及ぶの処ところ、御お布ふ施せ物ものこれ無きの間、御お略りゃくと云うん々ぬん。持じ明みょう院いん(光こう厳ごん天皇)の御お末すえ(子孫)今に相そう違い無く御ご即そく位いの事は、一いっ向こう尊氏の忠節なり。仏事御ご沙さ汰たあるべきの条もっともの事なり。その儀無きの条、無念の次し第だいなり。(『大だい乗じょう院いん寺じ社しゃ雑ぞう事じ記き』康こう正しょう三〈一四五七〉年五月一日条)応おう安あんの半はん済ぜい令れい 南なん北ぼく朝ちょうの内乱のなかで,期間と地域をかぎって,荘しょう園えんからの年ねん貢ぐの半分を兵ひょう糧ろう米まい(軍事費)にあてること(半済)を認めた半済令を,特定の所しょ領りょうをのぞいて,広く一般化した室町幕府の法。天皇・上じょう皇こうの所領,寺じ社しゃの一いち円えん領(武家関係者の関与のない所領),摂せっ政しょう・関かん白ぱくの地位に付属する所領以外の全ての所領に半済が適用されることとなった。 禁きん裏り・仙せん洞どう御ご料りょう所しょ、寺じ社しゃ一いち円えん仏神領、殿でん下か渡わたり領りょう等、他に異なるの間、曽かつて半はん済ぜいの儀あるべからず。固く武士の妨さまたげを停止すべし。そのほか諸国の本ほん所じょ領、暫しばらく半分を相あい分かち、下した地じを雑ざっ掌しょうに沙さ汰たし付け、向こう後ごの知ち行ぎょうを全まっとうせしむべし。(下略)(応おう安あん元〈一三六八〉年六月十七日 室むろ町まち幕府法)持じ明みょう院いん統とうの花はな園ぞの天皇が記した日記 大だい覚かく寺じ統とうのなかで,後ご醍だい醐ご天皇と,その甥おいで後醍醐の皇こう太たい子しとなっていた邦くに良よし親しん王のう(後ご二に条じょう天皇の子)とのあいだで皇位をめぐる争いが発生し,後醍醐と邦良のそれぞれが鎌かま倉くらに使者を派遣することが決まったことに対する感想。後二条・後醍醐の父である後ご宇う多だは,後二条と邦良を嫡ちゃく流りゅうと位置づけており,邦良は後醍醐の早期退位を望んでいた。 今日、(日ひ野の)俊とし光みつ卿きょう参まいり、関東(鎌かま倉くら幕府)の事を語る。立りつ坊ぼう(立りっ太たい子し)の事、御返事先さき々ざきの如ごとし。(中略)近年(大だい覚かく寺じ統とうと持じ明みょう院いん統とうの)両方の使者同時に馳はせ向かひ、世に競くらべ馬うまと号す。しかるに今また一流(大覚寺統)の内すでにこの事あり、歎たん息そくすべし、歎息すべし。(『花はな園ぞの天皇宸しん記き』正しょう中ちゅう二〈一三二五〉年正月十三日条)たとえば,次のような仮説も立てられるだろう。  武家権力は武力の担い手から,少しずつ人や土地の支配者へと変化していったのではないか。  武家権力の成長により,天皇の存在意義はほとんどなくなってしまったのではないか。   武家権力が成長したのは,武力によって紛争を解決することができたためではないか。自分が立てた仮説が正しいかどうか,第3章の学習で確かめてみよう。仮説を立ててみよう権力のイメージ は,1574(天てん正しょう2)年に,織お田だ信のぶ長ながから上うえ杉すぎ謙けん信しんにおくられた屏びょう風ぶの一部分である。この屏風には京都の市中と郊外がえがかれているが,同時代の実際の情景ではなく,いわば「理想のイメージ」や「あるべき姿」であった。ここでは,天皇の住まいである内だい裏り(),将軍の住まいである将軍御ご所しょ(),幕府の管かん領れいの住まいである管領邸てい()を,それぞれ同縮尺で示している。当時のそれぞれの面積は,内裏が1町ちょう,将軍御所が約1町,管領邸は2町弱であったが,将軍御所は2町の面積を有した「花の御所」としてえがかれている。権力の実態とイメージについて考えてみよう。『洛らく中ちゅう洛らく外がい図ず屏風(上杉本)』(内裏)(米沢市上杉博物館蔵) 『洛中洛外図屏風(上杉本)』(将軍御所)(米沢市上杉博物館蔵) 『洛中洛外図屏風(上杉本)』(管領邸)(米沢市上杉博物館蔵) 51015仮説を例示しており,無理なく学習を進めることが可能です。第1章第2章第3章仮説考察問いp.12〜13p.16〜17確実におさえます。教材・指導書コンテンツP.34〜3Point興味・関心を高めるページの充実P.24〜2Point資料活用力の育成P.18〜1Point基礎基本の確実な理解P.8〜『教師用指導書』と,「Dマイスター」では,各編第2章の授業用ワークシート(解答例あり)と指導案をご用意しています。資料から読み取れる内容を考察します。p.53

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