インド世界の形成2ヒンドゥー教や仏教は,地域の人々や社会に,どのように浸透していったのだろう。資料で深める歴史の世界 教会への批判はそれまでにもあったが,16世紀にルターやカルヴァンがはじめた運動は,社会全体を大きく動かすものとなった。なぜ,16世紀の宗教改革は成功したのだろうか。また,この動きはヨーロッパ社会全体にどのような影響を及ぼしたと考えられるだろうか。 宗教改革は,ローマ教きょう皇こうを頂点とするカトリック教会への批判からはじまった。民衆の識字率が高くなかった時代は,このような木もく版はん画が民衆に情報を伝える手段として多用された。さて,つぎに示した木版画はいずれもルターを描いたものであるが,その描かれ方はさまざまである。宗教改革はどのように人々に受けとめられたのだろうか❶ 左の絵を見て,どのような印象を受けるだろうか。❷ この絵が出版された年の歴史的状況を調べてみよう。❸ この絵はどのような立場から,どのような意図をもって描かれたのだろうか。下の解説を参考にして考えてみよう。① 「博士」ヴィッテンベルク大学で博士となり,講義を行っていた。② 「マルティン」修しゅう道どう服を着ており,もともとカトリックの修しゅう道どう士しであったことをあらわす。③ 「ルター」ターバンを巻き,異教徒をあらわすトルコ人として描かれている。④ 「説教師」自分の教えを勝手に説いてまわる者と印象づけられる。⑤ 「狂信者」当時,狂信的な者は,スズメガが頭のまわりをブンブン飛びまわっているようなものだとされた。⑥ 「教会巡じゅん察さつ者」ルターが独自の教会をつくってカトリック教会から離れ,巡察して威い張ばっているのだとほのめかしている。⑦ 「バラバス」キリストとともに十字架にかけられた犯罪者。罪のないキリストは殺されたのに,悪人バラバスは釈しゃく放ほうされた。❶ 画面左の人物はルターである。彼のどのような行為をあらわしているだろうか。❷ ルターの羽根ペンが突き刺しているライオンは,何をあらわしているだろうか。❸ この絵を見た人々はどのような印象を受けるだろうか。宗教改革から100年後に記念として描かれたことをふまえて考えてみよう。宗教改革100年を記念してつくられたポスター『ザクセン選せん帝てい侯こう(フリードリヒ)の予知夢』(1617年)カトリックの神しん学がく者の著作『マルティン・ルターの七つの頭』(1529年)の表紙①②③④⑤⑥⑦208208| 資料で深める歴史の世界❷ 資料をもとに新たな視点から歴史を考えるこのページで学習したことをもとに,より発展的な問いに取り組むこともできます冒頭の問いについて資料をもとに探究します『指導書』に解答例をご用意しています(→p.53)20
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