大交易時代に,なぜ世界の各地で社会がほぼ同時に大きく変化したのだろうか。また,世界の諸地域間の関係は,前後の時代と比べてどのように特徴づけられるのだろうか。大交易時代と世界の一体化第 章11136814世紀後半139215世紀1488149214981511151915211531153316世紀155716世紀末1600160216231644朱元璋が明を建国前期倭寇,海禁(明)李成桂が高麗を倒して朝鮮(李朝)を建国鄭和の遠征,マラッカ王国発展バルトロメウ・ディアスが喜望峰に到達コロンブスが大西洋航路発見ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路発見ポルトガルがマラッカを占領マゼラン一行が世界周航(~22)コルテスがアステカ王国征服ビルマでタウングー王国成立ピサロがインカ帝国征服後期倭寇ポルトガルがマカオ居住権獲得タイでアユタヤ王国発展イギリス東インド会社設立オランダ東インド会社設立アンボイナ事件李自成の乱(明の滅亡) 15世紀はじめ,東シナ海,南シナ海,インド洋に,琉りゅう球きゅう,マラッカ,南インド沿岸,紅こう海かい沿岸を結けっ節せつ点とする交易ネットワークが確立した。15世紀末以降,ポルトガルがこのネットワークに参加した。同じころ,新たに交易ルートとして大西洋と太平洋が加わり,全地球的な交易網もうが生まれた。中南米と日本で採さい掘くつされた銀は,この世界的な交易網に流入し,貿易量を飛ひ躍やく的に拡大させた。世界の諸地域はそれぞれに大きな変へん貌ぼうのときを迎えた。 海上交易が大きく発展した15世紀から17世紀にかけては,これまでヨーロッパ人の活動に重点を置いて,「地理上の発見」あるいは「大航海時代」とよばれていた。しかし,この時代の国際交易の発展は,アジアの航海者たちがそれまでにきずいてきたネットワークを基礎としており,アジア域内の流通の多くは引きつづき彼らによって担になわれた。この時代を,世界中の交易規き模ぼが拡大した時代として,「大交易時代」とよぶ。 この時代,ヨーロッパでは大西洋に面した西ヨーロッパの優位が決定し,海をもたない東ヨーロッパが西ヨーロッパに従じゅう属ぞくする構造ができた。アメリカ大陸では,独自の古こアメリカ文明が破は壊かいされ,現地の人々は暴力的にヨーロッパの経済構造に組みこまれた。東アジアでは,明ミンが国力を充実させ,アメリカ大陸や日本から輸入した銀を中心とする経済を発展させた。人々が利益を求めて動きまわり,世界の経済的価値観が標準化し,国家から特権を与えられた東インド会社など巨大な企業体が生まれた。近代への大きなあゆみがはじまる。ファモサ要よう塞さい跡(マラッカ)167167第11章 大交易時代と世界の一体化 |❷ 章・節ごとに設置された問いで「考える」歴史学 章の扉では章全体を貫く問いを提示10
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