「世界史探究」ダイジェスト版
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 18世紀後半から19世紀前半の欧米では,イギリスにはじまる産業革命の影響が各国に広がった。しだいに工業化と都市化がすすみ,交通と通信の技術革新によって人,もの,情報の移動が加速し,世界各地の結びつきが深まっていった。イギリスが経済力の面で優位に立ち,ほかの国々がそれに対抗しようとする時代のはじまりである。 18世紀末から19世紀初頭には,こうした経済状況の変化ともかかわりながら,南北アメリカとフランスで,あいついで革命がおきた。国民の政治参加を求める運動は,大西洋の両岸で政治体制を変化させた。憲法のもとで国民が政治に参加するという国家のあり方は,近代の世界に大きな影響を与えた。19世紀前半には,伝統的な社会秩ちつ序じょを守ろうとする勢力と,改革を求める勢力との対立がつづいた。改革を求める人々は,さまざまな意味で自由を求めた。自国の政治に,より参加する自由はその一つである。異民族の支配からの自由を求め,同一の民族として国家をきずこうとするナショナリズムの気運も高まった。 ナショナリズムは社会のまとまりをつくりだし,国民の政治参加を後押しした。その一方で,国内の少数派を抑よく圧あつしたり,異民族を支配したりする側面もあった。19世紀に自由の恩おん恵けいを受けることができたのは白人男性にほぼ限られ,女性や非白人の権利はきびしく制限されていた。18世紀半ばから19世紀半ばにかけて,欧米で産業革命や,国民が政治の主体となる国家を建設しようとする動きが広がったのはなぜだろうか。また,このような変革は,現代までどのような影響を与えているのだろうか。国民国家と近代社会の形成第 章14人権宣言諸民族の春1776178918041806181218151810年代182318251829183018311832184818521853186118671869187118911905アメリカ独立宣言フランス革命勃発ハイチ独立神聖ローマ帝国消滅,大陸封鎖令ナポレオンのロシア遠征,米英戦争ウィーン体制成立ラテンアメリカ諸国独立(~20年代)モンロー宣言ロシアでデカブリストの乱ギリシア独立フランス七月革命,アメリカで先住民強制移住法ベルギー王国成立イギリスで第1次選挙法改正ヨーロッパ各地で革命,アメリカでゴールドラッシュフランス第二帝政(~70)クリミア戦争(~56)イタリア王国成立,アメリカ南北戦争(~65)オーストリア=ハンガリー帝国成立最初のアメリカ大陸横断鉄道が完成ドイツ帝国成立シベリア鉄道の建設開始第1次ロシア革命232232| 第14章 国民国家と近代社会の形成❶ 編・章の扉ページで学習内容を概観歴史の構造がつかめる文章は入試の論述対策にも有効当該の章で扱う主な事項を年表で確認できますポイント豊富な資料と歴史の流れがわかる記述19

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