触れられる随筆◉光の窓 五感が渾然一体としてあった幼年時代から、視覚と自意識が発達して大人へと成長したときの感覚の変化を描いた随筆。大人へと成長を遂げる過渡期にある生徒たちも、共感を伴いながら読むことができるだろう。◉雨月物語 上田秋成『雨月物語』から筆者が感じた「侘びしい」という感情。役に立ったり、前向きだったりする感情ではないが、強く信じられる感情。物語の世界が、実感を持って迫ってきた体験を描いた随筆。◉国語から旅立って 台湾に生まれ、日本で育った筆者が、「国語」と「日本語」を見つめ直した一作。多言語環境を経験したことのある生徒には実感を持って読むことができる作品だろう。また、日本に生まれ育ち、日本語にしか触れたことのない生徒にも新たな価値観を与えてくれることだろう。◉書かれた風景の中へ アメリカ合衆国に生まれた小説家である筆者が、京都から奈良へと続く山辺の道を旅し、日本語で「書かれた風景」と出会った経験を描いた随筆。筆者の経験からは、書き言葉としての日本語の独自性を改めて感じ取ることができるだろう。◉空っぽの瓶 「わたし」「あたし」「ぼく」「おれ」といった、日本語の人称表現と自意識との関係から、自他の性や性差について省察する随筆。本作は生徒にも、自らが用いている言葉と自意識との関わりについて、よりいっそう深い見方や考え方を与えることだろう。◉クレールという女 「読み直し」体験によって、同じ本が時を経て全く異なった印象で捉えられる、読書の醍醐味がつづられた随筆。気品ある美しい文体が、読者を引き込んでいく作品。単元教材名作者Ⅰ部随筆光の窓小池昌代雨月物語木内 昇Ⅱ部随筆1国語から旅立って温 又柔書かれた風景の中へリービ英雄随筆2空っぽの瓶多和田葉子/松永美穂訳クレールという女須賀敦子新教材14
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