「新編論理国語」ダイジェスト版
3/6

論理の力を鍛えよう そういう人はもっと論理の力を鍛えよう。そして論理的に書き、論理的に話し、論理的に読み、論理的に聞くことができるようになろう。 では、「論理的」とはどういうことだろうか。より狭い意味では論証が的確になされていることであるが、ここではもっと広く、「筋道だっている」こととして捉えよう。まず、何か言いたいことがある。しかし、言いたいことをただ一言言っただけでは相手に理解してもらえないかもしれないし、納得してもらえないかもしれない。そこで、自分の言いたいことを相手に的確に説明し、説得力のある根拠を示す。そうして言いたいことを中心に文章全体に一貫した流れができる。このような筋道だっている文章が、論理的な文章である。 逆に、論理的ではない文章、すなわち筋道だっていない文章とは、飛躍があったり、途中で別の話に移っていったり、断片的だったりする文章である。そういう文章にも美しい文章や示唆的な文章はたくさんある。また、ふだんの雑談などはむしろ筋道だっていないほうが楽しかったりも 言いたいことがあるのに文章がうまく書けない。伝えたいことがあって話しても、うまく伝わらずに分かってもらえない。そんな経験はないだろうか。長い文章を読もうとしてもなかなか頭に入らずにぼーっとしてしまったり、時間がかかったりしてしまう、あげくの果ては正確に読めていなかったという経験はないだろうか。あるいは、ある問題について話し合いをしているのに、話があちこちに飛んでしまってまとまらないということはないだろうか。一四六ページ➡23論理の力を鍛えよう510155 ある対象に関して複数の異なる見方や考え方が存在することは、現代社会にあって決して珍しいことではなく、むしろ当然のことであるともいえる。大切なのは、そういった多様な意見を視野に入れながら、自らの問題意識につなげ、考えを深めていくことである。内容を比較する1 複数の文章を比較検討する場合、それらの文章に共通する点と相違する点の双方について整理し、正しく理解する文章を読み比べるためには、複数の大きな事故を取り上げながらも、やはり人間の脳の特性について論じているという点では共通している。しかし、それぞれの論の主張は異なっている。一方の論では、人間の脳の可能性を積極的に評価し、他方の論では、人間の脳の限界について警鐘を鳴らしている。複数の文章を比較する場合、そのような共通点と相違点に注意したい。構成を比較する2 論じられている内容を踏まえて、次のような観点から文章の構成を比較する。⃝引用や具体例はどのように配置されているか。また、そ5105なコラム「論理の力」への入り口となるコラムを掲載。文章の読み比べの手順を取り上げました。▪ コラム一覧⃝ 論理の力を鍛えよう⃝ 慣用句の意味⃝ 文章を読み比べるために⃝ 言葉にするとき,しないとき⃝ 学びの窓をひらいて(ブックガイド)⃝ 知っておきたいカタカナ語⃝ 「真の価値」を求めて⃝ 紛らわしい漢字⃝ 的確に表現するために⃝ 図表の読み取り方⃝ 現代を生きるために(ブックガイド)⃝ 困難な時代に22

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る