「詳解歴史総合」ダイジェスト版
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2節 第一次世界大戦と大衆社会 人類がはじめて経験した世界戦争はどのようにおこり,国際秩序や私たちの生活をどのようにかえたのだろう。大衆社会の時代大衆化によって,人々の生活はどのようにかわったのだろうか。1 大量生産,大量消費が行われるようになり,政治,経済,文化のあらゆる局面に大衆が進出したことで,社会のあり方はどのようにかわったのだろうか。この見開きページに掲載した数点の写真を見ながら,変化について話し合ってみよう。102 第2章2節 第一次世界大戦と大衆社会■ 1デパート内のテレビを見るために集まった人々(1953年,東京・銀座)■ 2日本の小学校における朝の体操(1936年)■ 3クライスラービルディング(1930年完成,ニューヨーク) 同一パターンを組み合わせた幾何学的な模様からなるアール・デコは大衆社会を象徴する装飾様式だった。■ 4ポスターに登場するサンタクロース■近代化から大衆化へ 近代国家の支配下に置かれた人々は,納税,兵役,教育の義務を担うようになった。各国では公教育の整備が進められ,人々に国民国家の一員としてのアイデンティティを持たせたり,公用語教育による識字率の向上をはかったりするなど,人々が義務を果たせる能力を身につけることがめざされた。一方,人々は政治参加の拡大を求める運動をおこし,参政権を獲得すると,議会を通じ政治に意見を述べるようになっていった。 また,産業革命により,工場設備による大量生産が可能となった。工業化にともない,多くの人々が都市に移り住み,労働の対価として賃金を受け取る労働者となると,均質で勤勉な労働者の育成が,公教育の新たな課題となった。労働者階級が成立し権利意識を持つようになると,労働運動や普通選挙運動がおこり,それと呼応する形で資本主義の弊へい害がいを是ぜ正せいしようとする社会主義思想が広まった。 さらに,産業の発達は,電信や電話,蒸気機関,自動車など通信・移動にかかわるテクノロジーを生み出し,人々の生活のあり方をかえた。次々に生まれる新しい工業製品は,広告を通じて人々の欲望をかきたて,人々は消費者としての意識を持つようになった。 こうして政治や経済などあらゆる分野に人々がかかわるようになると,人々が生活し,さまざまな関係を取り結ぶ場が社会として認識されるようになった。当初,社会は男性を中心に構成されていた510152010Point 1 詳しい記述で歴史の流れを「つかむ」❷ 段階的な問いかけで歴史を考えさせる

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