沖縄県 小学校教諭平良 優

英語が苦手な小学校教員の外国語活動奮闘記③
~小学校に英語がやってきた~

 “Let's start English class!”の号令で,元気よく外国語活動が始まる。

 ゲームやアクティビティ,デジタル教材を活用して,楽しく授業が進んでいく。

 ところで,「ゲーム」と「アクティビティ」の違いってあるのだろうか?

 ある先輩に尋ねたら,次のように教えて下さった。

 「ゲームには勝敗があるが,アクティビティには勝敗がない。」

 なるほど! 納得! 納得!(いろいろな捉え方があるのかもしれませんが・・・)

 ということは,同じ活動でも,ゲームにしたり,アクティビティにしたりできるってこと?

 例えば,定番のキーワードゲーム!

 キーワードの語彙が発話されたら,ペアの机上の中央にある消しゴムを取るゲームである。

 勝敗にこだわるあまり,ややけんか気味になるペアがいたりもする。

 そこで,キーワードが発話されたら,手拍子をするというルールに変えたらどうだろう!

 ペアの活動ではなくなってしまうが,語彙に慣れ親しませるという目的は同じである。

 学級の児童の実態に応じて,活動のルールを変える!

 そこが,学級担任の力の見せ所である。

 さて,このキーワードゲーム! 日本中の教室で実践されているであろうと推測される。

 なにせ,ルールが簡単で,盛り上がるのである!

 盛り上がるが故に,ただの遊びにならないように気をつけなければならないのだが・・・。

 突然だが,ここで,ある日のキーワードゲームの様子を見てみよう。

 語彙は次の8つである。

 “baseball” “soccer” “basketball” “swim” “badminton” “table tennis” “unicycle” “kendama”

HRT:

Let's play the keyword Game.

C:

Yes!

ALT:

Please make pairs . Put one eraser on the desk.

HRT:

Keyword is“kendama”

ALT:

Everyone. Keyword is・・・?

C:

“kendama”

ALT:

That's right! Repeat after me.

ALT:

“unicycle”

C:

“unicycle”

AL:

“unicycle”

C:

“unicycle”

ALT:

“table tennis”

C:

“table tennis”

ALT:

“table tennis”

C:

“table tennis”

ALT:

“unicycle”

C:

“unicycle”

ALT:

“baseball”

C:

“baseball”

ALT:

“badminton”

C:

“badminton”

ALT:

“basketball”

C:

“basketball”

ALT:

“table tennis”

C:

“table tennis”

ALT:

“unicycle”

C:

“unicycle”

ALT:

“kendama”

C:

~ 消しゴムを取る ~

 さて,読者の皆様,お気づきであろうか?

 授業者は,意図的にあるものを選んでいる。

 さあ,そのあるものとは?

 ・・・そう,それは,キーワードの語彙“kendama”である。

 なぜ“kendama”をキーワードにしたのだろう?

 このゲームでは,キーワードに選ばれた語彙“kendama”は,リピートされない。

 つまり,その語彙“kendama”の発音に慣れ親しむことはない。

 なので,児童がすでに慣れ親しんでいる語彙をキーワードにしたのである。

 そして,“unicycle”,“table tennis”の慣れ親しみのない語彙を多くリピートさせている。

 このような工夫は,とても重要なことではないだろうか。

 私はこのことに気づくまでに3年間を要した。

 それまでは,ただなんとなく,キーワードを選んでいたのである。

 この気づき! ものすごく汎用性がある!

 キーワードゲームの次に定番なのが,ミッシングゲーム!

 それでは,ミッシングゲームの様子を見てみよう!

HRT:

Next Game! Let's play the Missing Game!

C:

Yes!

ALT:

Please close your eyes.

C:

Yes!

HRT:

~児童全員が目をつむったことを確認し,黒板の絵カードを1枚取る。~

ALT:

Open your eyes.

HRT:

What's missing?

 さて,担任は,先ほどの語彙の中から,どの絵カードを取ったのだろうか?

 そして,その理由は?

 ・・・そう,皆様のお察しの通りである。

 担任は,“unicycle”の絵カードを黒板から取った。

 “What's missing?”と尋ねたら,“unicycle”とその語彙を発してほしいからである。

 つまり,馴染みのない“unicycle”という語彙に慣れ親しんでほしいという願いからである。

 このように,一つひとつの活動について考えていくと,活動の質が高まる!

 「意図的・計画的に」という言葉をよく耳にするが,それは,まさにこのことである。

 ちなみに,私がオリジナルで考案した,語彙に慣れ親しませるための活動が2つある。

 名付けて,「リップリーディング」と「トリックゲーム」。

 文部科学省が全国の小学校に配布したDVDに,その活動の様子が収録されています。

「小学校版 新学習指導要領に対応した外国語活動及び外国語科の授業実践事例映像資料3」

 興味のある方は,ぜひご覧下さい。

 それでは,また次回!

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