道徳授業,こうすればできる!

比治山大学准教授 森川 敦子

ワークシートの活用方法いろいろ

 多くの道徳授業で活用されているワークシート。近年は,道徳ノートを使用している学校もあるが,ここでは,まずワークシートに視点を当て,その活用方法や留意事項について紹介する。

1 ワークシートのよさと活用方法

 ワークシートのよさや活用方法としては,次のようなものが考えられよう。

◯ 書くことによって,児童生徒は自分の考えを整理したり新たな考えに気付いたりすることができ,思考が深まる。(思考の整理・深化)

◯ 書いたものを児童生徒自身が読み返すことで,自己の成長や課題に気付くことができる。また,それらを教師が読むことによって,児童生徒の考えや成長をみとることができ,評価の資料としても活用できる。(省察・評価)

◯ 教室や廊下の道徳コーナーの掲示に活用すれば,児童生徒が相互に読み合い,共有したり相互評価し合ったりすることができる。(共有・相互評価)

◯ 基本的に1時間1枚なので,作成,回収,ファイリングなどが簡易にできる。作成の際には,教材や指導過程に応じてレイアウトを変えたり,イラスト,図,写真などを入れたりするなどの工夫がしやすい。

2 ワークシートに書かせる回数は?効果的な場面は?

 発問毎に書かせたり,逆に書く場面が全くなかったりする授業は,児童生徒の思考が深まらず,よい道徳授業とは言えない。45~50分間という授業時間を考えると,書く回数は,小学校低学年では1~2か所,中・高学年・中学校では2~3か所程度が適切ではないだろうか。書かせる場面としては,主に次のような場面が考えられる。

◯ 中心発問の場面:イラストや吹き出しを活用するとイメージがわき,考えやすくなる。一つの場面に複数の吹き出しを用いると多様な考えを引き出すことが可能になる。

◯ 振り返りの場面:自己の生活,授業のテーマ,授業前後での考え方の変容,参考になった友達の意見などについて振り返らせると学びがより一層深まる。

◯ 授業終わり(授業評価):「(テーマ)について深く考えることができたか」「授業に意欲的に取り組めたか」など,学びについて3~5段階で自己評価させるのもよい。

3 ワークシートを活用する際の一言アドバイス!!

◯ 教材名,教科名(道徳),日付,名前欄等を入れる。日付は整理・保管する際に必要。

◯ 教材や児童生徒の実態を踏まえ,縦書きや横書き,用紙サイズなどを検討する。

◯ 書く場面の「問い」を最初から印刷しておくのか,それとも,児童生徒が問いを先読みして勝手に書き進めないよう,発問場面で「問い」を書かせるのか。それぞれの利点や欠点を考慮し,年齢段階,教材,児童生徒の実態に応じて工夫する。

◯ 書くための時間は十分に確保する(5~10分間程度)。吹き出しなどを用いる際には,書き出し部分を予め示しておくと,書くことが苦手な児童生徒も考えやすくなる。

◯ 「道徳コーナー」等の掲示に活用する際には,掲示用台紙やクリアシートを常掲しておくとよい。そうすれば,授業後にワークシートを綴じていくだけで簡易に掲示できる。

◯ ワークシートと教材資料を紙ファイルやクリアファイルに綴じさせておくと,ポートフォリオとして評価にも活用できる。学期ごと程度の中期的なスパンで学習の振り返りを行い,自身の成長やよさ,課題について自己評価させるとよい。年度末にワークシート類を製本し「学びの足跡」として手渡せば,児童生徒の達成感や満足度もUP!

【ワークシート例】

【ワークシート例】

【ワークシート例】

ページを閉じる

ページの先頭へ