Q13
A13
生徒一人一人が教材から学んだ道徳的価値と照らして,
自己を見つめ,振り返る学習を行います。
展開後段は,「自己を見つめる段階」と言われています。教材から学んだ,より高められた道徳的価値と照らして,現在までの自分の体験などについて振り返らせ,今後の自分の考え方や感じ方,行動の仕方についての自覚を深める段階です。
具体的には,
「教材から学んだ,より高められた道徳的価値と照らして,今の自分はどうだろうか。」
という発問が有効です。このことから,生徒が自分との関わりで道徳的価値を理解したり,自分の問題として受け止め深く自己を見つめたりすることができます。
また,道徳的価値は,体験と関連付けて共感的に把握されてこそ自覚の深まりが期待されることになります。そこで,ねらいとする道徳的価値を生徒の道徳的体験と関連付けて共感的に理解し,納得するように指導することが大切です。
展開後段が充実するためには,この段階のための時間確保が大切であるとともに,生徒が何をもとに振り返るのか,教材から学んだ道徳的価値を明確にする必要があります。
また,事前にねらいと関わる生徒一人一人の実態(体験)を十分に分析しておけば,授業者が意図的に指名をすることも可能になり,積極的な発言を引き出す上で効果的です。
さらに,生徒は他の生徒の考えを聞くことで,物事を広い視野から多面的・多角的に考え,いっそう深く自分を見つめることができるようになります。そのためにも,自己の振り返りを生徒同士が語り合うことができるような指導の工夫をすることが大切で,生徒の多様な感じ方や考え方を引き出すことができるような学級の雰囲気づくりが重要です。
語り合いを充実させるためには,必要に応じて,ペアでの対話やグループによる話し合いを取り入れるなどの工夫も望まれます。しかし,この場合も,グループによる話し合いで終わるのではなく,全体の場に戻すなどの配慮が必要です。