修身科の廃止と全教育活動の中で行う道徳教育
戦後の教育課程では戦前にあった修身科を廃止し,学校における道徳教育は,社会科をはじめ各教科その他教育活動の全体で行うこととされた。
児童・生徒といっしょに考える
「道徳の時間」の特設
昭和33年に文部省は「道徳」実施要綱を定め,「道徳の時間」の特設とその実施要領を通達した。「道徳の時間」における指導は,教師の一方的な教授や徳目の単なる解説に終わることなく,児童・生徒の具体的な生活に即しながら,そこで起こる事例を取り上げてそれに応じた指導を行うこととされた。
「道徳の時間」の特設と同時に副読本を発刊した。
- ▲「あたらしいせいかつ1ねん」
昭和33年度小学校
- ▲小学校1年「てつだい」
昭和33年度
- ▲小学校2年「わたしの かかり」
昭和33年度
- ▲「新しい生活1年」
昭和33年度中学校
- ▲中学校1年「夏休みの計画」
昭和33年度
年間指導計画作成資料の基礎となった
「道徳内容系統表」
昭和40(1965)年度用小学校『新しい生活』と中学校『新しい生活』は,道徳の内容を構造的に展開した副読本とした。この本から現在の特色として取り上げられている「発達段階に即した指導内容の重点化」の考えが取り入れられた。このとき作成された「道徳内容系統表」が年間指導計画作成資料の基礎となった。
- ▲「あたらしいせいかつ1ねん」
昭和40年度小学校
- ▲「新しい生活1年」
昭和40年度中学校
- ▲「新しい生活」
見本本パンフレットに収録した道徳内容系統表
昭和42年度小学校
- ▲「新しい生活」
見本本パンフレットに収録した道徳内容系統表
昭和42年度中学校
道徳教育の一貫性と指導内容の重点化
平成元年の学習指導要領の改訂において,幼稚園,小学校,中学校,高等学校の道徳教育の一貫性が図られ,道徳の時間の指導内容が発達段階に応じて重点的に示された。
副読本の書名
発刊以来「新しい生活」としてきたが,平成元(1989)年度の学習指導要領実施に伴う「生活科」の新設により,小学校は平成元(1989)年度本から『道徳』とし,中学校は平成2年度本から『明日をひらく』とした。
- ▲「道徳」(1~6年)
平成元年度小学校
- ▲「道徳」 背のサブタイトル
平成元年度小学校
- ▲「明日をひらく」(1~3年)
平成2年度中学校
「道徳の時間」を要として行う道徳教育
平成20年の改訂において改正教育基本法の理念を教育課程に具体化するために人格の形成が強調された。「道徳の時間を要として学校の教育活動全体で行うもの」であるとし,道徳の時間の中核的役割と性格が明確に示された。
いじめ問題への対応と多様な学習活動の工夫
「いじめをしない,許さない心」をはぐくむ道徳授業をめざすにあたって特に有効であると考えられる,資料同士の組み合わせ ユニット「いじめのない世界へ」を提案した。
- ▲小学校3年「いじめのないせかいへ」
平成27年度小学校
道徳の多様な学習活動の展開を可能にする工夫として,従来の資料を中心とした授業に加えて,ねらいに即したグループエンカウンターやモラルスキルトレーニングを取り入れた授業ができるようにした。
- ▲小学校6年「グループエンカウンター」
平成27年度小学校
- ▲中学校1年「モラルスキルトレーニング」
平成24年度中学校