東書Eネットロゴ

  • 東書Eネットへ登録する
  • 東書EネットIDでログイン

ページTOPへ

前のニュース

次のニュース

2018年11月8日

◎チンアナゴ、調査進展期待=9日から水族館イベント

 海底の砂地から長い首だけ出してゆらゆら―。ユーモラスな姿が人気を集めるチンアナゴのイベントが、すみだ水族館(東京都墨田区)と京都水族館(京都市)で9日から始まる。餌を食べる様子の解説やクイズなどが11日の「チンアナゴの日」まで行われる。
 チンアナゴ類の詳しい生態や生涯は謎が多いが、近年では産卵の様子が撮影されたり、鹿児島県・奄美大島で新種が発見されたりしており、研究者は関心の高まりが生息地の調査と保護に結び付くことを期待している。
 すみだ水族館では2014年にチンアナゴと近縁種ニシキアナゴの雌が夜に産卵し、雄が精子を放出する様子を動画撮影し、論文を発表した。受精卵は自然の海では遠くへ流されるとみられる。
 論文共著者となった塚本勝巳東京大特任教授は昨年、すみだ水族館で開かれたシンポジウムで「餌を食べる時も産卵の時も巣穴にいながらとは、ずぼらな魚だと言えるかも」と話して聴衆を笑わせた後、「卵から透明な葉のような幼生になるのがウナギの仲間の共通点」と説明。「どんな餌を食べて大きくなり、どうやって沿岸の浅い海にやって来るのか。謎に包まれている」と語った。
 一方、鹿児島大の藤井琢磨特任助教と日本学術振興会の小枝圭太海外特別研究員は、16年に奄美大島沿岸で新種「ニゲミズチンアナゴ」を初めて採集した。チンアナゴ属では15種目(重複命名除く)。体長約70センチの大型で体中に薄茶色の斑点があるほか、えらぶたの上の大きな白い斑点が特徴。
 同年1月の発見から調査は20回に上り、採集できたのは偶然にもチンアナゴの日だった。和名は「遠くに揺らめく姿は見えるが、近づくと消えてしまう様子が逃げ水のようである」ことが由来。小枝さんらは恥ずかしがり屋を意味する学名「フガックス」を付け、論文を発表した。沖縄や東南アジアの海にも生息しているとみられる。
 採集場所は奄美大島と加計呂麻島の間にある内湾の砂泥地。小枝さんは「有名なチンアナゴの仲間でさえ、知られていない種がいることに驚いた。美しいサンゴ礁や藻場ではない場所だからこそ、人知れず暮らしている生き物がいる」と話した。藤井さんも「鹿児島の海にどんな種が生息するか、長期的な計画に基づく調査が求められる」と語った。

教育文化ニュース一覧に戻る

前のニュース

次のニュース