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2018年8月8日

◎不正加点、2年で19人=女子、浪人生抑制操作―東京医大調査

 東京医科大(東京都新宿区)の不正入試問題で、同大が設置した内部調査委員会は7日、男子受験生や現役生らに加点するなど得点を操作し、女子や浪人回数の多い受験生の合格者数を抑制していたとする調査結果を発表した。これとは別に、前理事長の臼井正彦被告(77)=贈賄罪で起訴=が主導し、2年間で計19人の点数を個別に不正加点していたと指摘。同被告らが受験生の親から謝礼も受け取っていたとみられると言及した。
 記者会見した同大の行岡哲男常務理事は「社会の信頼を大きく裏切り、心からおわびする」と陳謝。得点調整を「根絶する」と述べた上で、女子受験生らの追加合格も検討する考えを示した。
 報告書によると、女子や浪人生を抑制する点数操作は、遅くとも2006年度入試から行われていた。今年度の一般入試二次試験の小論文(100点満点)では、受験生全員の得点に0.8を掛けた上で、男子の現役~2浪受験生には20点、3浪生には10点を加点。女子と4浪以上の受験生には加点していなかった。
 一方、個別の不正加点は一次試験が対象で、今年度6人、昨年度13人に対し行われた。最大で49点加点していたケースもあった。こうした調整は臼井被告が主導し、前学長の鈴木衛被告(69)=同=と共にリストを作成して実施していた。
 文科省前局長の佐野太被告(59)=受託収賄罪で起訴=の息子は10点を加算された結果、一次試験に合格していた。
 報告書は女子受験生の得点調整について、女性は年齢を重ねると出産や育児で長時間勤務できなくなるなど、「医師としてのアクティビティーが下がる」という理由だったと指摘。「女性差別以外の何物でもない」と批判した。浪人生への調整も「受験生への背信行為だ」と断じた。
 個別の受験生への不正加点に関しては、同窓生の子弟を多数入学させ、寄付金を多く集めたいという思いが動機だったとみられるとした。
 ◇合格調整、20年以上前から
 調査報告では、同大が20年以上前から同窓生の子弟らの不正入学を続けていた実態が明らかになった。調査委員会は問題の背景に、同窓会から理事長らへの圧力があった可能性を指摘した。
 報告書によると、臼井前理事長は入試委員会のメンバーだった1996年ごろから合否判定に関与し、依頼を受けた同窓生の子弟らの合格者調整を続けていた。入試委の後に開かれる教授会には受験生の得点を非公表としていた。
 臼井氏が学長に就任した2008年には、文部科学省が疑惑を取り上げた一部報道を受け、教授会への得点不開示など入試制度を問題視。これを機に教授会への得点開示や、同窓会や理事長らの入試への介入禁止などが確認された。
 これにより同窓生の子弟を合格させにくくなったことから、入試委は二次試験の点数を調整するように。ただ、二次試験は複数で採点しており、得点調整が発覚する恐れがあることから、事前に関係者リストを作成して一次試験の結果に加点するようになったという。
 調査報告は不正の背景として、同窓生の子弟の入学者数を増やすよう、同窓会から理事長や学長への圧力があった可能性を指摘。同窓会から大学側に、同点の場合は同窓生の子弟を優先して入学させるよう要望が出されたこともあったという。
 合否判定は学長の職務だったが、臼井氏は理事長就任後も主導して関与し、調査委は「規範意識が相当鈍磨していた」と指弾。鈴木衛前学長(69)についても臼井氏のワンマンぶりから対立して職を追われることを恐れたとし、「学長の職務を放棄し、臼井氏の関与を拒もうとしなかった」と指摘した。
 ◇報告書要旨
 東京医科大の不正入試問題をめぐり、内部調査委員会が発表した報告書の要旨は次の通り。
 【私立大学研究ブランディング事業】
 2016年度は選定されなかった。17年度は前理事長の臼井正彦被告が、文部科学省前局長の佐野太被告、コンサルタント会社元役員谷口浩司被告と会食するなどし、助言を受けた可能性が高い。
 【18年度入試】
 臼井被告は恩返しとして、佐野被告の息子の得点調整を決めた。1次試験は10点加点。2次試験は3浪以下の男子受験生への不正加点があり、息子も対象となった。他にも5人が個別に加点された。
 【過去の入試】
 長年にわたり不正な得点調整が行われていた。男子への加点も、少なくとも06年度以降行われていたようだ。
 【今後の対応】
 事業の補助金は自主返還が相当。息子の退学処分は難しい。臼井被告らには退職金の辞退を説得すべきだ。過去の不正について徹底した調査を行うべきだ。
 【再発防止策】
 次期理事長と学長に、倫理観を持つ人物を選ぶ。監査拡充、入試の採点方法変更、同窓会の影響力排除を行う。

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