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2018年4月16日

◎被災地域、学力低下の兆し=学習習慣崩す―県教委、元校長ら派遣し支援

 熊本地震で被害が大きかった地域の小中学生の学力に、学校関係者らが注意を払っている。学力テストで低下の兆しが表れたからだ。熊本県教育委員会は、仮設住宅生活などによる学習環境激変が「影響していないとは言えない」と受け止める。学校現場では改善に向けた取り組みが始まった。
 2017年4月の全国学力・学習状況調査で、県全体は国語など4教科の正答率が全国平均と同程度だった。ただ県内を11地域に分けた結果では、家屋倒壊数が多い南阿蘇村などがある阿蘇教育事務所と益城町などを含む上益城教育事務所の両管内で変化が確認された。
 県教委によると、地震前年の調査に比べ、熊本市など9地域はおおむね変化は見られなかった。これに対し、地震前は全教科で県平均を上回った阿蘇管内の中学は国語2教科で平均を下回り、上益城の小・中は県平均からの下げ幅が前回比1~3ポイント前後拡大した。
 被災地では避難所暮らしや車中泊、自宅の倒壊などを経験した児童生徒が多い。上益城管内の元小学校長は、突然の環境変化や狭い仮設住宅暮らしで学習習慣のリズムを崩したままになっている可能性を指摘。「親も生活を守ることで精いっぱい。家庭の教育力低下に不安を感じる」と話す。
 県教委は、昨年度から両管内への学力向上アドバイザー派遣を開始。経験豊富な元校長が定期的に各校を回り、教職員らに授業づくりの指導や小中間の連携支援を行う。今年度は教職員を対象にした訪問研修も始める。「兆しであっても中長期的な影響を防ぐために危機感を持って対応していく」(義務教育課)方針だ。
 民間も危機感を共有する。子どもの学習支援を行うNPO法人カタリバ(東京都杉並区)は、益城町内の集会所など3カ所で放課後に学習会を開く。ボランティアの大学生らが教えるのは約80人。責任者の一人、芳岡孝将さん(33)は「将来への不安を抱きながらも勉強に励む彼らの学習環境を少しでも確保してあげたい」と力を込める。
 東日本大震災で被災した生徒の学力調査を続ける東北大大学院の柴山直教授(教育心理学)は「児童生徒の生活規範や学習習慣といった基本姿勢の速やかな再構築に向け、学校、保護者、地域が一体感を持ち協力できるかが問われる」と話す。

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