今回の研究実践の中で試みたのが,「多面的な思考力」の養成である。社会的事象をいろいろな立場からとらえることが「多角的な吟味・分析」であるとすれば,社会的事象をいろいろな側面(様相・条件・事情)からとらえることは「多面的な吟味・分析」といえる。生徒たちにとって,前者は比較的容易に思考を進めることができる。ところが,後者は一つの物事を吟味・分析しようとしたとき, 「そこに至るまでの経緯」「表面には見えてこない,聞こえてこない,別の思い」といった部分まで入り込むことになる。「多角的な吟味・分析」と「多面的な吟味・分析」と,バランスよく使い分けることができると,「深い思考」が可能になると考える。
島根県松江市立玉湯中学校 大野俊治