中学校国語指導直前情報「かけはし」2004年1・2・3月号より。向田邦子のエッセイ「ごはん」には,戦時下という薄暗い時代背景のなかで,食べ物をめぐって生き生きと心を動かす人間の息遣いが,自在な筆ぶりで鮮やかに描き出されています。食べ物の記憶を通じて,人間の日常生活のなかにきらりと光る一断面を見出すことは,向田さんが得意としたところです。ここでは,人間共通の関心事である「食」を糸口に,向田さんの文章をいくつか採り上げます。中学生にも読みやすい文章で,親しみやすい題材,興味深い内容であることから,読書へのいざないとして,向田さんの文章は格好の素材となるのではないでしょうか。
東京書籍(株) 国語編集部